舞台で街頭で――60年代は踊りをどう変革したか(日仏比較舞踊学の試み)

班長 北原 まり子

1968年の「五月革命」から50周年を迎えたフランスで、舞踊学では初めて、当時の舞踊界の動向に焦点をあてた研究書が出版されることになった(I.ロネ、S.パジェス編『Danser en 68, Perspectives internationales』2018年12月刊行予定)。これは、2014年に発表されたパリ第八大学舞踊学科のチームの研究成果(『Danser en Mai 68』)に基礎を置いている。それによれば、フランスの舞踊家たちは当時、より認知されていた姉妹芸術(音楽、演劇等)と同等の地位を求め社会的な活動を行った一方、実験的・政治扇動的作品をほとんど生み出さなかったという。日本の同時期の「政治の季節」も、とりわけ舞踊学の分野ではほとんど顧みられることがない。1959年に創始された暗黒舞踏が、「肉体」という言葉とともに当時の社会的機運を反映していたと認識されるのみである。日本の舞踊家たちは政治活動にグループとして参加することはわずかであったが(舞踊人青年協議会等)、1960年安保闘争前後に若い世代の台頭と実験的な試みの噴出が見られ、フランスの状況とまさにコントラストを示している。当時の状況を調査し、貴重な証言を集めて、フランスの先行研究を基礎にその時期を分析することで、日本の舞踊界の特殊性を新たに発見できると考える。

班員
小川佐和子