「ヴァードゥーラ・シュラウタスートラ」研究

班長 井狩 彌介
藤井 正人

本研究の中心は、井狩が南インド・ケーララ州で入手したヴェーダ文献関係伝承写本群のうち、ヤジュル・ヴェーダ所属の祭式古学派ヴァードゥーラ派の主要祭式文献の研究である。従来、同派文献は欠陥の多い二次写本のみを用いて研究が試みられて来たが、本写本群の発見によりほぼその全容が知られ、研究は新しい段階に入っている。学界から要請されてきた同派主要文献の全体の公刊に向けて準備が進められている。

本研究期間においては、ヴェーダ・シュラウタ祭式体系の中核をなすふたつの重要祭式をヴァードゥーラ派の伝承に焦点をあてて文献学的検討を行うことが課題である。具体的には、ヴェーダの最古文献リグ・ヴェーダ以来、ヴェーダ祭式の中核に置かれた「ソーマ祭」と、ヴェーダ中期に展開した社会と文化の改革再編を象徴する大規模な祭式「アグニチャヤナ祭」を扱う。共同研究では、祭式綱要書ヴァードゥーラ・シュラウタスートラの当該部分のテクストの批判刊本の作成と注解付翻訳の作成に向けて班員による会読を進める方式と当該祭式で扱われる主題の研究報告の方式のふたつを併用して進める。最終成果としては、ヴァードゥーラ・シュラウタスートラの当該部分(第6−7章、第8章)の批判刊本と詳細な訳注の刊行を予定している。

班員