人文情報学の基礎研究

班長 WITTERN, Christian

人文情報学(欧米では最近Digital Humanitiesだ)というのは、ここで特に人文科学諸分野に於ける文献学を基礎分野として、成立中の新しい研究領域とする。対象となるのは人文科学に於けるデジタル資料のあり方、その資料に対しての方法論や研究手段等々。本共同研究班では特にデジタル・テキストの規格、取り扱い方、処理、研究方法などについての基礎的な研究行う予定である。

この数十年以来、多くの漢籍や古典はデジタル化されていることによって、東方学や中国に関するすべての研究が大きく変わった。 研究者が現在直面している問題はもはや資料の乏しい状況よりは、大量のデータのなかに精密と正確に今の課題に必要とする情報を絞っていけるか、さらに、長期的に使える研究の記録、研究者コミュニティーでの共有、などはどう行うか。

本共同研究班は文献研究が行う人文科学の諸分野、特に東方学の研究、つまり古典の校正、解読、注釈、翻訳等を支援する方法や規格を提唱して、さらにそれに基づいた研究支援ツール見本の実装を目指している。そのツールの具体的な機能等は班員の関心や研究進行と共に明らかになるだろうが、現時点では文字としてのテキストと画像テキストの連携、複数の版本の扱い、テキスト批判、引用文や逸文の検出、語彙や実例の検討、テキストマイニング、テーマ・ジャンルなどでの絞り検索などが考えられる。 研究者の需要を再検討して、テキスト研究に必要な道具で21世紀の人文学研究の基盤を強化することは本研究の最大の目的だ。


班員
安岡孝一、古勝隆一、土口史記、永田知之、ビル・マック