東西知識交流と自国化―汎アジア科学文化論

班長 武田 時昌

自然探究の学問において、異郷からもたらされる典籍、文物や文化的情報は常に刺激的であり、時には大きなブレイクスルーを誘発した。中国において、インド、イスラム、ヨーロッパなどの西方世界からもたらされた科学技術は、理論的変革をもたらすほどに大きな作用を発揮した。また、中国的受容を経た科学や技術は、韓国、日本やベトナムに伝播し、それぞれに異なる自国化の道を辿った。近世日本では、新興の大陸文化を受容しながら、一方ではイエズス会宣教師やオランダから直接に科学知識を導入したことによって、ハイブリッドな独自の近世科学文化を開花させた。

本研究プロジェクトでは、『宿曜経』などの仏教天文学の展開や明末清初の西学受容を考察対象に取り上げ、宇宙論、自然観、生命観の形成と変容過程を探ることで、東西知識交流と自国化の具体的様相を明らかにする。そして、汎アジア的な視座から伝統科学文化の構造的把握を試みる。

班員
ビル・マック、高井 たかね