Posted カテゴリ 活動記録.

日時:2015年2月27日(金)13:30-17:00

場所:京大人文研第セミナー室1

共催:神智学研究会

 

共催:神智学研究会

13:30-13:40 吉永進一(舞鶴高専) はじめに
13:40-14:30 Boaz Huss (Ben-Gurion University of the Negev), “The Spirit of the East: Some thoughts on Mysticism in Jewish, Indian and Japanese Nationalism” (英語)
14:30-15:00 質疑応答(英語)
15:15-15:25 栗田英彦(東北大) ミラ・リシャールと静坐社(日本語)
15:25-15:55 Max Theon, Mirra & Paul Richard, Aurobindoについて質疑応答

16:00-17:00 会員の研究報告と今後の研究計画
杉本良男(国立民族学博物館)「東と東のすれ違い-アナガーリカ・ダルマパーラと日本」
日沖直子(南山宗教文化研究所)「松ケ岡文庫調査」
莊千慧(大阪大学)「上海共同租界における神智学運動」
岡本佳子(ICUアジア文化研究所)「日印の仏教復興とまぼろしの東洋宗教会議」
橋本順光(大阪大学)「英国外交文書にみるジェイムズ・カズンズ」

司会 赤井敏夫(神戸学院大)

報告
Boaz Huss, “The Spirit of the East: Some thoughts on Mysticism in Jewish, Indian and Japanese Nationalism”
ウース教授の報告は、ユダヤ近代における自己オリエンタリズムとユダヤ神秘主義の構築を、自文化を東洋的で神秘的と表出させた日本とインドの例と比較したものである。1906年に出版されたマルチン・ブーバーの『ラビ・ナハマンの物語』において、ブーバーは「ユダヤ神秘主義」という言葉を用いた。一方、同年には釈宗演のSermons of a Buddhist Abbotが出版されている。この歴史事実から説き起こし、近代から始まったルーファス・ジョーンズなどの神秘主義研究に触れた上で、ハシディズム・カバラ、インドの不二一元論、日本の禅仏教(釈宗演、鈴木大拙)、京都学派における、「神秘主義」「宗教経験」といった宗教学的用語使用のストラテジーを俯瞰的に論じ、ユダヤ神秘主義、インド宗教、日本仏教などのアジア伝統宗教のグローバル化、近代化を大きな視野から論じたものである。さらにそのようなユダヤ、インド、日本における近代霊性思想の関係を具体的、実践的に体現した例として、Max Theon、Mirra Alfassa(Mirra Richard), Aurobindo Ghose、そして大川周明につながるコネクションをを挙げた。

(マックス・テオンは東欧系ユダヤ人オカルティスト、ミラ・アルファッサはトルコとエジプト系のユダヤ人、オーロビンドはインド人宗教家、彼らについて日本語で読める論文は以下のものを参照のこと。

http://ci.nii.ac.jp/naid/110007124470

栗田英彦(東北大) ミラ・リシャールと静坐社(日本語)
ミラ・リシャールが京都滞在中に親しくなった日本人女性小林信子との関係についての報告で、小林の実践していた岡田式静坐法をミラも実践していたこと、ミラは岡田式のもつスピリチュアルな次元を理解せず、フィジカルな技法と考えていた。

杉本良男(国立民族学博物館)「東と東のすれ違い-アナガーリカ・ダルマパーラと日本」
Kemperによる最新のダルマパーラ研究についての批評を交えた報告。Kemperはダルマパーラの日記を活用し、ダルマパーラが神智学に晩年まで傾倒していたことを指摘しており、一章を割いて日本仏教とダルマパーラの関係を論じている。杉本は、ユニバーサリズムとナショナリズムは表裏一体ではないかと指摘。

日沖直子(南山宗教文化研究所)「松ケ岡文庫調査」
現在進行中の松ケ岡文庫での外国語雑誌目録作成作業の報告を行う。文庫に所蔵されている神智学雑誌がいくつか画像で紹介されたが、それらの中には伍廷芳の中国語の神智学冊子も含まれていた。

莊千慧(大阪大学)「上海共同租界における神智学運動」
戦前、上海租界において神智学ロッジが設立したBesant Schoolについて。神智学協会本部からの資金援助はなかったことなど、調査から判明した事実を報告。

岡本佳子(ICUアジア文化研究所)「日印の仏教復興とまぼろしの東洋宗教会議」
ベンガル神智学協会の重鎮であったナレンドラナート・センの子孫へのインタビュー報告。N.センが支援していたダルマパーラと岡倉覚三・織田得能との摩擦や、岡倉、オーロビンド・ゴーシュ、神智学と関係していたカルカッタのMallik家という富豪についても解説。

橋本順光(大阪大学)「英国外交文書にみるジェイムズ・カズンズ」
イギリス外交資料中でのジェイムズ・カズンズについての書類は多くなく、さほど危険視されていなかったことがわかる。カズンズの知り合いであった洋画家久米民十郎はメーテルリンク夫人とも知り合いであったが、メーテルリンク夫人はMax Theonの創始したコズミック・ムーブメントの一員でもあった。

 

リシャール夫妻@京都

 

写真は、中央がタゴール、その右がミラ・リシャール、右端がポール・リシャール。タゴールの左隣の日本人は平沢哲雄(平野威馬雄や南方熊楠と交流があった。http://www.minakatella.net/jinmei/hirasawatetuo.html