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■ 学位 |
戦前ロサンゼルスで主要な移民集団を構成していた日本人とメキシコ人は、借地農と借地農に雇われた農業労働者として互いに対立かつ依存する関係にあった。それぞれの集団については多くの歴史的研究があるが、国際情勢と密接に連動した両者の相互関係については、言語的な制約もあり詳細な研究が殆どない。本研究では、日本とメキシコ、アメリカ合衆国に保存されている一次史料を基に、第二次大戦に向け太平洋地域の緊張が高まる1920年代から1940年代に、ロサンゼルスの日・墨移民集団間に存在していた相互関係を明らかにする。そのうえで、関係国の人種イデオロギーや移民政策なども比較検討し、両集団の関係が国際情勢とどのように連動していたかについて、環太平洋地域社会史の視点から考察する。本研究は、変動する国際関係の下で、差別と格差をはらみつつ移民社会が形成され、変化していくプロセスの一端を理解するためのケーススタディでもある。