横山 俊夫 教授 – Professor YOKOYAMA, Toshio

横山 俊夫

■ 学位
哲学博士(オックスフォード大学)
■専門分野
文明学、前近代日本文明史
■研究テーマ
江戸期日本の文明史的研究
■主たる講義科目
地球文明論(大学院地球環境学舎)

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江戸期日本の文明史的研究

安定社会が閉塞せず、あやにあきらかな文明状態に向かうかどうかは、その社会の構成要素をつなぐさまざまな媒介の質によります。18世紀から19世紀前半にかけての日本社会は、化石エネルギーに依存しない生産と消費の循環をほぼ持続させつつ、さらには文明化へと向かう様相をも示しておりました。その状況を支えた媒介のなかでもとくに注目されるのは、人のみならず物や神仏におよぶ日常礼法の指南書類です。それらには、当時、書礼を中心に多様な作法を総合的に提供した「節用集」、ならびにその宗教面を補った「大雑書」がありました。

それらの書物の膨大な数の出版や流通を調べ、村や町内を挙げての依存の実態を解明することは、今後、地球規模で安定を迫られて閉塞しかねない人類社会が意識して文明化を目指すときに参照しうる、貴重な歴史体験を発掘することになります。そしてその体験は、やがて人類のひとつの文化遺産として登録されることになるかもしれません。

このような関心から、1990年代に展開したわたくしの研究は、全国に残存する大冊の節用集類の下小口の黒変摩耗が示す模様を電算画像処理して、どのような使用形態があったのかを突き止め、分類することでした。2000年以降は、そのような数理的検討から見えてきた、いくつかの使用形態モデルを手がかりに、それぞれの背景に実際にあった、人びとの日常のこだわり、生活文化を復元することを試みております。