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本研究の目的は、ヨーロッパ現代思想と「政治」の関係を問い直すことにある。ここでヨーロッパ現代思想とは、およそ1968年前後のフランスを中心に勃興し、その後「ポストモダン」ないし「ポスト構造主義」などとも呼ばれてきた思想的諸潮流(フーコー、ドゥルーズ、デリダら)を指す。「新左翼」の興隆とも軌を一にして現れたこうした諸潮流の論者たちは、1990年代以来、ソ連圏の崩壊とEUの成立という情勢の変化にともない、あらためて「政治」との関係を主要な考察対象としつつ新たな展開を見せている。その事情は日本でも、ネグリ、バディウ、ランシエールといった思想家たちの紹介を通じて知られていよう。こうした動向はいかなる思想的な系譜の上に立ち、いかなる「政治」状況のなかから出てきたものであったのか。また1968年以来のヨーロッパの現代思想において、そもそも「政治」とはどういう営みとして把握され、「思想」や「哲学」との間にいかなる理論的・実践的な関係が提起されてきたのか。本研究はこうした問いを通じて、ヨーロッパにかぎらず広く政治をめぐる思考の現状に介入することを目指す。 現在日本において、ヨーロッパの現代思想は「哲学的な読解」の対象として、あるいは「文化研究の方法論」として受容されている。これに対して本研究では、現代思想と「政治」の関係に注目し、あくまで思想が孕む実践的・社会的な射程に着目する。ここで目指されているのはまず、思想史研究を通じた現代ヨーロッパの社会関係総体の展望である。本研究はまた同時に、彼我の比較と同時代性の認識を通じて、日本の思想的・政治的な現状への省察を深めることを企図している。そのかぎりで、これはヨーロッパ現代思想を相対化しつつそれと対話しようとする研究であり、ヨーロッパ・スタンダードに即したヨーロッパ研究がもてはやされる日本の学問的現状に一石を投じる意義を持っている。この点において本研究は、かつて『ルソー研究』や『フランス革命研究』で京大人文研の共同研究が提起した西洋研究の長所を、ふたたび生かそうとする試みでもある。 |