研究会日程

例会は人文科学研究所本館(新館)で月曜日に行われます。アクセスは以下のURLをご覧下さい。
https://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/hub/kotu.html

次回例会
3月30日:報告「危機/終焉言説と学問批判」坪井秀人氏(日文研)

参考文献

今後の予定
2014年度
3月16日:報告 「根元的虚構論と文学の魅力」中村三春氏(北海道大学)

【概要】
 詩や小説のテクストとの出会い、それを仮に〈始まりの瞬間〉と名づければ、 文学の魅力とはその瞬間にあり、文芸研究の魅力はその出来事を記述することにあるだろう。だが、いかにも私に固有のそのような瞬間は、他者の理論によってたちどころに相対化されてしまう。また、大人の仕事は故里に帰ることではないとすれば、意味のある論述とは、自らがよって立つ概念枠を自覚し、その自覚を内部に組み込むような自己言及的なものとならざるを得ない。しかし、そこにおいてもなお〈始まりの瞬間〉を再現することは、果たして可能だろうか。
 今回のお話は、その点に留意しつつ、『フィクションの機構』(1994)から『フィクションの機構2』(2015)までの間に、根元的虚構論(言葉の本来のあり方が虚構であり、文芸の虚構はその延長線上に現れるとする説)を基盤とし、概念的相対主義、メタ文芸学、テクスト様式論、レトリック分析、係争中の主体、第二次テクスト論などを構想して展開してきた私の理論の模索について、系統的に(つまり、ポイントを押さえて)論じてみたい。

3月30日:報告 「危機/終焉言説と学問批判」坪井秀人氏(日文研)

【概要】
 人文学の研究・教育は近代アカデミズムの歴史の中で最も困難な時期を迎えている。新自由主義の政治が吹き荒れる中で、個別の研究や研究機関の自律性はとてつもなく脆弱化しているからだ。内発的にも、”The End of History”や〈近代文学の終り〉といった〈危機〉や〈終焉〉のディスクールが世紀転換期以降、反復撒布されてきた。
 1990年代から文化人類学や民俗学などで内在的な学問批判が開始され、それは日本文学においても国文学批判が展開された。このことは全共闘世代による大学解体のコールが教養部解体に端を発する大学改組・管理化という形で実現されてしまうというアイロニカルな政治状況と実は一体のものであろう。学問批判と危機/終焉言説はどのように関連しているのか、あるいはそれをどのように克服すべきなのか、議論のきっかけを作ることが出来ればと思う。

過去の記録
2011年
3月14 日:準備会
4月18 日:会読 上田真『日本の文学理論─海外の視点から』を読む(岩松正洋担当)(1)
5月9  日:会読 上田真『日本の文学理論─海外の視点から』を読む(岩松正洋担当)(2)
5月23 日:報告 大浦康介:漱石の『文学論』をめぐって
6月6  日:会読 岡崎義惠『文藝學概論』を読む(河田学担当)(1)
6月20 日:会読 岡崎義惠『文藝學概論』を読む(河田学担当)(2)
7月4  日:報告 日高佳紀:「筋のない小説論争」をめぐって
9月19 日:会読 竹内敏雄『文藝學序説』を読む(久保昭博担当)(1)
10月3 日:会読 竹内敏雄『文藝學序説』を読む(久保昭博担当)(2)
10月17日:会読 小西甚一『日本文藝史─別巻 日本文学原論』を読む(重田みち担当)(1)
11月7 日:会読 小西甚一『日本文藝史─別巻 日本文学原論』を読む(重田みち担当)(2)
11月21日:会読 野家啓一『物語の哲学』を読む(斉藤涉担当)
12月5 日:会読 鈴木貞美『日本の「文学」概念』、『「日本文学」の成立』を読む(大浦康介担当)
12月18日:討論会 『日本文学からの批評理論』をめぐって(木村朗子、安藤徹、高木信)
2012年
1月16 日:会読 江藤淳『リアリズムの源流』を読む(岩松正洋担当)
2月6  日:会読 興膳宏「中国における文学理論の誕生と発展─六朝から唐・宋へ」を読む(高木雅恵担当)
2月20 日:会読 野口武彦『三人称の発見まで』を読む(中村ともえ担当)
3月5  日:報告 石原千秋「戦後、日本近代文学研究の方法」
3月19 日:会読 坂部恵『かたり』を読む(北村直子担当)
4月16 日:報告 森本淳生「小林秀雄の初期批評とポール・ヴァレリー」
5月7  日:会読 柳田国男「口承文芸とは何か」を読む(菊地暁担当)
5月21 日:会読 藤井貞和『物語理論講義』を読む(久保昭博担当)
6月4  日:会読 伊藤整『小説の方法』を読む(飯島洋担当)
6月18 日:会読 吉本隆明『言語にとって美とはなにか』を読む(I、第I章、第II章)(斉藤涉担当)
7月9  日:会読 吉本隆明『言語にとって美とはなにか』を読む(I、第III章、II、第六章)(中村ともえ担当)
10月8 日:報告 野網摩利子:「漱石による文学理論の補完を目指して─『夏目漱石の時間の創出』の先へ」
10月15日:会読 岡本太郎の芸術論(藤田茂担当)
11月5 日:会読 河出書房『新文学論全集』(第5巻『文芸思潮』、第6巻『国民文学と世界文学』)を読む(大浦康介担当)
11月19日:報告 齋藤希史:「明治日本の批評言語」
12月3 日:会読 千野帽子『読まず嫌い。』、『俳句いきなり入門』を読む(岩松正洋担当)
12月17日:資料紹介と報告 (1)開信介(研究社「文学論パンフレット」)、(2)中村ともえ(自然主義の描写論のアンソロジー)
2013年
1 月21日:会読 亀井秀雄『感性の変革』を読む(笹尾佳代担当)
2 月4 日:会読 河出書房『新文学論全集』第一巻「文学概論」ならびに第二巻「表現論」を読む(久保昭博担当)
2 月18日:会読 河出書房『新文学論全集』第三巻「批評・鑑賞」ならびに第四巻「文学のジャンル」を読む(河田学担当)
3 月11日:会読 折口信夫「日本文学の発生 序説」を読む(西川貴子担当)
4 月22日:会読 杉山康彦『ことばの芸術』を読む(北村直子担当)
5 月20日:会読 前田愛『近代読者の成立』『都市空間のなかの文学』『文学テクスト入門』を読む(日高佳紀担当)
6 月3 日:会読 「文学理論」としての九鬼周造『文學概論』を読む(岩松正洋担当)
6 月17日:会読 イルメラ日地谷・キルシュネライト、エドワード・ファウラーを読む(イリナ・ホルカ担当)
7 月1 日:報告 アンソロジー構想(大浦康介担当)
7 月22日:報告 谷川惠一:「遺稿集という言説空間」
10月7 日:報告 アンソロジー構想(中村ともえ担当)
10月21日:報告 『文心雕龍』雑感(永田知之担当)
11月18日:報告 日本における映画理論(小川佐和子担当)
12月2 日:報告 アンソロジー構想(笹尾佳代担当)
12月16日:討論会 文学入門をめぐって(大浦康介、飯島洋、岩松正洋、西川貴子担当)
2014年
2 月3 日:アンソロジー中間報告(日高佳紀担当)
2 月17日:アンソロジー全体構想(大浦康介、開信介、鈴木洋仁、河田学担当)
5 月19日:アンソロジー中間報告 「描写論」(中村ともえ+久保昭博)、「読者論」(笹尾佳代+菊地暁+岩松正洋)
6 月16日:アンソロジー中間報告 「口承文芸論」(西川貴子+菊地暁)、「詩的言語論」(岩松正洋+斉藤)
7 月14日:アンソロジー中間報告 「小説論」(中村ともえ+大浦康介)、小論文(イリナ・ホルカ、永田知之)
10月20日:アンソロジー中間報告 「フィクション論」(北村+飯島+日高)
11月17日:アンソロジー中間報告 「物語論」(西川貴子+河田学+笹尾佳代)、小論文(小川佐和子)
12月15日:アンソロジー中間報告 「文学とは何か」(大浦康介+永田知之)
3 月16日:報告 中村三春:「根元的虚構論と文学の魅力」


Last-modified: 2015-03-18 (水) 12:54:46 (3317d)