班長 藤井 正人
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古代インドにおける王権と儀礼の関係を、ヴェーダ祭式文献を基礎資料にしてインド学、言語学、歴史学、考古学、人類学、美術史など複数の視点から分析するとともに、さまざまな地域や時代における王権と王権儀礼に関わる諸問題について比較研究をおこなっている。王権と儀礼との関係は、その社会における政治的および宗教的権力である王権と司祭権の関係(特に一体化しているのか分離しているのか)にもかかわっているので、それについて具体的な資料に基づいて研究することもめざしている。
隔週の研究会では、会読と報告という二つの形式の会合を交互に開き、資料の蓄積と研究視野の拡大をはかっている。会読では、ヴェーダ時代の王権儀礼のひとつであるラージャスーヤに関するすべてのサンスクリット語テキストを読解することによって、この儀礼に関係する一次資料の集成と研究をすすめている。ラージャスーヤは、灌頂と王座につく儀礼とを中心に戦車走行や賭博などの多くの催しを含む大がかりな王即位式である。本来の比較的小さな即位儀礼が、体系化されたヴェーダ祭式のなかに編入され、大規模な王権儀礼として整備されたものである。この儀礼に関して、近年学界にもたらされたヴァードゥーラ派ヤジュル・ヴェーダの新資料をもとり入れた総合的な資料集を出版する計画である。
報告では、班員およびゲストスピーカーが、王権と儀礼に関係する種々のテーマで報告をおこなっている。また、会読で作成したラージャスーヤの資料をさまざまな角度から分析し検討することによって、古代インドの王権と王権儀礼の特徴を学際的な視点から明らかにすることもめざしている。最終成果として、さまざまな地域と時代の王権と儀礼をめぐる論文集にまとめる予定である。
班員 岡村秀典、梶原三恵子、田中雅一 |