藤原辰史の研究室

〈研究概要〉
専門は歴史学、とくに農業史と環境史です。20世紀の食と農の歴史や思想について研究をしています。これまで、戦争、技術、飢餓、ナチズム、給食などについて考えてきました。

分析概念として「分解」(ものを壊して、属性をはぎとり、別の構成要素に変えていくこと)と「縁食」(孤食ほど孤立してなく、共食ほど強い結びつきのない食の形態)を用いて、自然界と人間界とを同時に叙述する歴史の方法を考えています。

〈プロフィール〉
藤原辰史(FUJIHARA Tatsushi)
1976年、北海道旭川市生まれ、島根県横田町(現奥出雲町)出身。1995年、島根県立横田高校卒業。1999年、京都大学総合人間学部卒業。2002年、京都大学人間・環境学研究科中退、同年、京都大学人文科学研究所助手(2002.11-2009.5)、東京大学農学生命科学研究科講師(2009.6-2013.3)を経て、現在、京都大学人文科学研究所准教授。博士(人間・環境学)。2019年2月には、第15回日本学術振興会賞受賞。
(右の写真は伴智一)



〈単著〉
『ナチス・ドイツの有機農業ーー「自然との共生」が生んだ「民族の絶滅」』(柏書房、2005年、第1回日本ドイツ学会奨励賞)
『カブラの冬ーー第一次世界大戦期の飢饉と民衆』(人文書院、2011年)
『稲の大東亜共栄圏ーー帝国日本の<緑の革命>』(吉川弘文館、2012年)
『ナチスのキッチンーー「食べること」の環境史』(水声社→決定版=共和国、2012年→2016年、第1回河合隼雄学芸賞)
『食べること考えること』(共和国、2014年)
『トラクターの世界史ーー人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』(中公新書、2017年、韓国語版=2018年)
『戦争と農業』(インターナショナル新書、2017年、韓国語版=2020年)
『給食の歴史』(岩波新書、2018年、第10回辻静雄食文化賞)
『食べるとはどういうことか』(農文協、2019年)
『分解の哲学ーー腐敗と発酵をめぐる思考』(青土社、2019年、第41回 サントリー学芸賞。韓国語版=2022年)
『縁食論ーー孤食と共食のあいだ』(ミシマ社、2019年)
『農の原理の史的研究ーー「農学栄えて農業亡ぶ」再考』(創元社、2020年)
『歴史の屑拾い』(講談社、2022年)
『植物考』(生きのびるブックス、2022年)
『これからの日本で生きる経験』(SURE、2023年)
『たくさんのふしぎ 食べる』(福音館書店、2023年。絵=スケラッコ)

〈編著・共編〉
『現代の起点 第一次世界大戦 全四巻』(岩波書店、2014年。山室信一、岡田暁生、小関隆と共編)
『第一次世界大戦を考える』(共和国、2016年)
『歴史書の愉悦』(ナカニシヤ出版、2019年)
『われわれはどんな「世界」を生きているのか——来るべき人文学のために』(ナカニシヤ出版、2019年。山室信一、岡田暁生、小関隆と共編)
『環世界の人文学——生と創造の探究』(人文書院、2021年。石井美保、岩城卓二、田中祐理子との共編)
Handbook of Environmental History in Japan(Amsterdam University Press / MHM Limited, 2022)

〈共著〉
『食の共同体——動員から胃袋へ』(ナカニシヤ出版、2008年。池上甲一、岩崎正弥、原山浩介との共著)
『言葉をもみほぐす』(岩波書店、2021年。赤坂憲雄と共著。写真=新井卓)
『ポストコロナの生命哲学』(集英社新書、2021年。福岡伸一、伊藤亜紗と共著)
『「自由」の危機——息苦しさの正体』(集英社新書、2021年。25名との共著)
『中学生から知りたい ウクライナのこと』(ミシマ社、2022年。小山哲との共著)

そのほかの書きものについての情報は、リサーチマップをご覧ください。

〈単著の書影〉