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<おしらせ>


<合同ゼミ・修論関係日程>


1998年度

415日(水)修論構想報告会・新歓コンパ
 1300 院生合同室
 発表者:西真如、比留間洋一、岩谷洋史、見目佳寿子、椿谷友希

5月13日(水)新入院生報告会
 発表会:池亀彩、春日、島薗洋一、藤本透子、森あい、松嶋

129日(水)修論構想報告会・忘年会
 13001800 新館1106演習室
 発表者:西真如「ゲラゲの移住過程に関する考察:近代エチオピアにおけるスルテの家族史から」
 比留間洋一「北ベトナム村落のリーダーシップに関する文化人類学的考察」
 岩谷洋史「村落の空間構造についての一考察:滋賀県湖北菅浦を事例として」
 見目佳寿子「池間島の漁民文化考ーー人と鰹の民俗世界」
 岩谷彩子「海を渡る教えーー”ジプシー”のペンテテコステ派キリスト教への改宗をめぐって」

122日(金)修論報告会(2)新館1106演習室
 1630
 発表者:修論提出者のみ(予定の5人が提出!)

1999年度

428日(水)1330- 修士論文構想発表会 
新館1B07
 発表者:風戸「ヒツジ・ヤギ混成群の放牧の成立機構ーー現代モンゴル牧民の季節移動と家畜管理技術」・春日「日本という問題ーー東京都小笠原村についての考察」・戞山「現代カイロ女性のヴェールに関する考察ーー新しいヴェール再考」・松嶋「技術と奇術の日本近代」
 新入生歓迎コンパ

5月26日(水)1445- 新入院生報告会
 発表者 井上綾子、井上卓也、小林英仁、佐藤木綿子、増田和也

1122日(月)1300-修士論文執筆中間発表会
 風戸「モンゴル牧民の遊動と家畜管理ーーヒトと家畜の離合集散」・春日「国境の経験ーー小笠原の民族誌的問題と地政学的意義」・戞山「現代カイロ女性のヴェールに関する考察ーー新しいヴェール再考」・島薗「呪術的治療の社会的構築についてーーフィリッピン・レイテ島における呪医と社会関係」・椿谷「インディアン・ディアスポラーー神戸のコミュニティを中心に」・松嶋「明治・大正期における近代奇術の誕生とその展開について」

1月26日(水)1300合同ゼミ

2000年度

426日(水) 1300から 修士論文構想発表会
  於:人環地下講堂(B23B)井上〔綾〕、井上(卓)、佐藤、藤本、増田

5月10日(水) 1300から 新入院生報告会 
  於:人環地下講堂(B23B
高橋そよ「南方出稼ぎ漁民の世界観-伊良部島佐良浜のカツオ漁を中心にして-」リ・ブンブン「中国におけるキリスト教文化」佐古将規「エチオピア西部の互助組織」畑百合子「簡易水道化以前の生活用水の利用-滋賀県高島町畑地区の事例から-」望月幸治「エチオピアのビデオ小屋」小池郁子「アイデンティティの共有化と差異化についての一考察-アフリカ諸国の人々とアフリカ系人の事例から-」松村圭一郎「共同放牧をめぐる資源利用と土地所有-沖縄県・黒島の組合牧場の事例から-

1129日(水)1400-1800 333
 井上綾子、井上卓、佐藤木綿子、藤本透子

124日(水)1330- 地下講義室
 井上綾子、井上卓、佐藤木綿子、藤本透子

2001年度

418日(水) 1430ー1730 修士論文構想発表会 於:333室 松村「資源としての土地、舞台としての土地:エチオピア農村部における土地の利用と所有の歴史空間的研究」、藤本「民族復興とアイデンティティクライシス:食文化からみた独立後のカザフスタン」、増田「陸の民、河に降りる:インドネシア、スマトラプタランガンを事例に」

4
25日(水)
1300-1500
M1生報告。
1500-2000
博士論文構想発表会 縄田・川村

6
14日(木)博士論文構想発表会 金谷・石井

1128日(水) 場所:人環333

  • 修論構想報告会プログラム1
    1:30〜2:20 小池郁子「アフリカ、ヨルバの神々を求めて:アフリカ系アメリカ人の宗教・文化実践をめぐって」 
    2:20〜3:10 佐古将規「現代都市の教会をめぐる共同体の形成と維持─韓国・ソウル市におけるキリスト教・プロテスタントの事例から─」
    3:20〜4:10 高橋そよ「漁民の民俗的空間と方位観−沖縄県伊良部島佐良浜を事例としてー」
    4:10〜5:00 松村圭一郎「土地の所有と利用の歴史・空間的研究ーエチオピア西部・コーヒー栽培農村の事例から」

125日(水) 場所:人環333

  • 修論構想報告会プログラム2
    1:30〜2:20 畑「歌の名前を持つ人々―サーミの伝統的声楽表現「ヨイク」をめぐる社会関係ー」
    2:20〜3:10 藤本透子「カザフ女性の子育てと家族観」
    3:20〜4:10 増田「水辺をめぐる複合的自然利用〜スマトラ東海岸・プタランガン社会の事例から」
    4:10〜5:00 望月(タイトル未定)
    5:00〜5:50 李 Christianity, Gender and Resistance
    - A Case Study of Catholic Women Religious in Contemporary China-

1129日(木)1445- 場所1203
  博論ゼミ  藤本武・川村清志

2002年度
4月17日(水) 14:30〜17:30 場所 人環333
修士論文構想発表会

金子 潤 「多言語地域における個人戦略と世界観 ルソン島北部イバロイ族の事例から」
熊谷瑞恵 「ウルムチで食べる―中国新疆ウイグル自治区区都ウルムチにおけるウイグルの食卓」
田尾幸子 「つきあいの中に育つ子ども 三重県答志島の事例から」 
和崎聖日 「祈ることに関してーーウズベキスタンにおけるイスラーム実践の事例から」

515(水) 1440〜 場所  人環333
 新M1生報告。

小島恭美「アリーマクビールにみるジェンダールール」
小西賢吾「観光イメージの発生・流通・受容 日本の観光地における観光客行動戦略を中心とした研究に向けて」
田村うらら「振り売りのエスノグラフィー(卒論)紹介」
村橋 勲「文化としての病い--エチオピア西南部における民俗医療システムより」
山本達也「チベット難民の文化変容--世代間変化を見る」


日時:1127日午後1時半〜(6時頃終了予定)
場所:人環333

プログラム:(五十音順、敬称略)
金子潤「分割相続をめぐる変化と持続ーフィリピン山間地B村の事例からー」
熊谷瑞枝「家庭からみる麦食文化圏の主食概念―中国新疆ウルムチにおけるウイグル族の事例から」
田尾幸子「インフォーマルなつきあいが作る子供の成育環境-三重県答志島の事例から」
宮西 香穂里「横須賀米海軍基地に見る国際結婚―支援体制と当事者たちの声」
和崎聖日「物乞いにおける「共同性」の経験―ウズベキスタン共和国タシケント市におけるムスリムの事例から」

発表時間は、ひとり発表30分、討論20分です。


日時*  2003416                            ■教室*  人・環研究棟 333演習室
発表は、発表30分、質疑応答10分です。

  • 13:00−発表@ 金子 潤(福井研M3) 「読み替えられる慣習的分割相続と社会変容−フィリピンベンゲット州B村の事例から−」 
  •  13:40−発表A 小島 恭美「首都リマにおける売春」
  •  14:20−発表B小西 賢吾「『伝統の保存』と観光が生み出すつながり−秋田県角館町、『歴史案内人組合』の事例を中心に−」
  • 15:20−発表C 田村 うらら 「トルコ西部の定期市−都市と近郊農村の相互関係」
  • 16:00−発表D 村橋 勲  「今後の研究計画−エチオピア西南部Ch'araにおける文化と環境の相互依存関係(予備調査を紹介しながら)」
  • 16:40−発表E 和崎 聖日  

日時■200357日(水)  1:305:30

教室■人.環研究棟333演習室

  • 130〜発表◆@梶丸 岳 「音楽のコミュニケーション的様態(仮)」
  • 1:55〜発表◆A加藤 亜由美 −タイトル未定−
  • 2:20〜発表◆B加藤 裕美「ボルネオ島ダヤック族における熱帯環境の生業への影響」
  • 2:45〜発表◆C児玉 夏子 卒論:「『動物』から見える釜ヶ崎」 修論構想:「ローマにおける人と猫の関係(仮)」
  • 3:10〜発表◆D鈴村 綾子 「写真を『撮る』行為による共同体の変化」
  • 3:50〜発表◆E中森 千尋 「卒論発表と修論に向けて」
  • 4:15〜発表◆F錦織 承平 「漁撈民生態の研究に向けて」
  • 4:40〜発表◆G比嘉 夏子 [卒論「屠畜からみた沖縄の肉食文化」の再考察と修論「人間と家畜(豚)との関係」(仮)の研究計画]
  • 5:05〜発表◆H山田 有佳 卒論「棚田の『守り』をめぐるとまどいと合意形成」修論構想「クロアチアにおける内戦からの復興」 

博論合同ゼミ 総合人間1号館の1207室 
6
27日(金)1445-1900 岩谷彩子・王柳蘭


  • 修論構想発表会
    日時■12月5日(金)
    時間■13:00〜
    場所■総合人間学部棟(時計台向かいの建物)1106号室
    内容■
    金子 潤  読み替えられる慣習的分割相続と社会変容−フィリピン・ベンゲット州 B村の土地利用の事例から−
    小島 恭美 「売る男」と「買う女」―性感マッサージにみるジェンダーヒエラルキーのゆらぎ―
    小西 賢吾 秋田県角館町における「伝統」の再編と維持のメカニズム―観光化と文化財政策の展開をめぐる二つの事例から―
    田村 うらら トルコの都市定期市―都市と近郊村の共栄関係のみられる場
    山本 達也 ディアスポラのパフォーマンス−チベット難民舞踊集団TIP Aを事例に‐
    和崎 聖日 ソ連崩壊後の社 会変容「乞食」を生み出す社会的メカニズム−ウズベキスタン首都タシュケントでの事例から−

    時間割■
    ひとり発表30分、質疑応答20分で以下の通りです。

2004年1月30日公聴会リハーサル1000- 人文研212


2月5日(木)公聴会のお知らせ

【全教B05演習室】
9:40〜10:10 和崎聖日  
「タシケントの『乞食』に関する文化人類学的研究〜ポスト・ソビエト期における再
イスラーム化と女性」

【全教B04演習室】
14:20〜14:50 田村うらら
「都市定期市におけるやりとりに関する経済人類学的研究〜トルコ共和国イズミルの
事例より」
15:00〜15:30 小島恭美
「『売る男』と『買う女』 女性向け性感マッサージをめぐって」
15:40〜16:10 山本達也
「ディアスポラのパフォーマンス〜インド・ダラムサラのTibetan Institute of
Performing Arts
を事例に」
17:10〜17:40 金子潤
「土地資源の慣習的分割相続をめぐる動態的考察〜フィリピン・ベンゲット州B村の
事例から〜」

※全教とは全学共通教育棟のことです。総合人間学部1号館の西側の同じ外観の建物です。


2005年度 修論構想発表会
日時■4月21日(金)
時間■13:00〜
場所■人環333号室 4月の合同ゼミプログラム:
日時:421日(水)13:00
場所:人間・環境学研究科333(いつもの部屋です)

  • (1人発表20分、質疑応答10分)
  • 13:0013:30 小西賢吾
    「『伝統』の再編と維持のメカニズム−秋田県角館町の「お祭り」を中心に−」
  • 13:3014:00 村橋勲
    「エチオピアの鍜冶師−DimeCh'araの事例から」
  • 14:0014:30 梶丸岳
    「プイ族山歌における表現と感情のコミュニケーションについて」
  • 14:3015:00 加藤裕美
    「伐採道路進出によるロングハウス社会の変化ーサラワク シハン族の今」
  • (休憩15分)
  • 15:1515:45 錦織承平
    「集団潜水追込み漁師の技術・知識の伝達・獲得」
  • 15:4516:15 Baibikov, Lena
    「ステレオタイプに挑戦する受容可能な婚姻を目指す京都のロシア人妻たち」
  • 16:1516:45 比嘉夏子
    「トンガにおける豚飼養とその位置付け」 

博論ゼミ6月30日(水)1630-2030 人環333室
    松村圭一郎・三田牧


新院生合同ゼミは 7月9日(金)1300-1800 人文研大会議室
発表プログラム:それぞれ発表20分、質疑応答5分です。

池田瑞恵13:0013:25「性同一性障害」 医療とトランスジェンダーする身体をめぐって
内山正太13:2513:50 インドヒマラヤ・チベット社会における世帯と水利用 ヒマーチャル・プラデーシュ州スピティ地方のチベット社会の事例から
大城佳子13:5014:15 現代日本における在日ベトナム系住民のネットワーク 神戸市長田区・鷹取カトリック教会の事例より
大野哲也14:1514:40 冒険の人類学にむけて 
  ー日本人バックパッカーが切り拓く実践理論と冒険論の地平
(休憩15分)
工藤藍子14:5515:20 ニュージーランドのヨーロッパ系移民によるマオリの位置づけ ニューエイジ、エコロジー運動の流れをくむマオリ語名の宗教施設の関係者を中心に
徐玉子15:2015:45 多文化共存の街づくり
  ー東北地方の農山村における外国人花嫁とむらの事例から
高田彩子15:4516:10 南イタリアの再構築 NYの南イタリア系移民における「イタリア性」とは?
陳暢16:1016:35 村で見る中国少数民族の言語と教育
  ー雲南省シーサンパンナータイ自治州のハニの村を中心に
(休憩15分)
土本麻紀子16:5017:15 古本に見る価値創造の共同体
橋本博人17:1517:40 現時点での修士研究の方向性について
渡辺文17:4018:05 フィジーのストレートパーマの流行にみるマナ信仰の    変容


日時:平成16121日(水)
場所:吉田南1号館(全学共通科目棟)204号室(吉田グラウンドすぐ東の建物)

【プログラム】一人発表25分、質疑応答15分小西賢吾 13:001340
「対抗性から見る共同体の内発的変容‐秋田県角館町の『お祭り』を事例として」
村橋勲 13401420
「鍛冶・土器集団の技術とその社会的変容:エチオピア西南部ギイツィの事例より」
梶丸岳142015:00
「プイ山歌の自然誌−歌・詩・対話の狭間におけるコミュニケーション」加藤裕美 15151555
「食材採取から見た森林利用−ボルネオ島シハン族における事例」
錦織承平 15551635「漁師という経験」バイビコフ・エレナ 16351715
「国際結婚における外国人配偶者−日本におけるロシア人妻をめぐって」
比嘉夏子 17:301810
「豚の価値が体現されゆく過程−トンガ王国ファトゥム村の事例にみる家畜豚の儀礼的利用とその評価」
山田有佳 18101850
「体制移行期における日常性の回復と向上〜ドブロヴニクにおける戦後復興の事例より」


日時:平成16123日(金)
場所:総人1号館207号室
1630-
 城田愛


日時:2005422(金)修論合同ゼミ

発表20分、質疑応答10

人文研 2階大会議室

中森千尋 Identityと歴史概念ーEthiopiaに移住させるRastafarianismを事例としてー

錦織承平 漁の実践と学習

池田瑞恵 性別の越境は病なのか―「性同一性障害」の構築と診断における解釈枠組みの変遷―

大城佳子 関西における在日ベトナム系住民のコミュニティ

大野哲也 再生する主体−日本人バックパッカーの「自分探し」の論理から−

工藤 藍子 女性と山の関係−山形県西置賜郡小国町大字小玉川を事例として−(仮)

高田彩子 大阪・鶴橋におけるニューカマーコリアンの生活経験
 
陳暢 中国の周辺社会におけるマイノリティの言語−中国雲南省シーサンバンナのアカ族の集落を事例に(仮題)

土本麻紀子 価値の共有:骨董をめぐる人間関係

渡辺文 フィジーにおける「アート」の生成:オセアニアセンターの事例から(仮)


日時:7月1日金曜日 13:30〜
場所:総合人間学部1号館 1B05教室

●発表 20分報告、5分討論

池田篤史「マオリの舞踊ハカ―その身体と場の動態、舞踊する興奮(仮)」

神本秀爾「ふるさとは遠きにありて思ふもの?〜エチオピア・アフリカ国際会議のラスタファリアン」

河西瑛里子「欧米の女神崇拝における癒しの実践 〜イギリスの魔女復興運動の中の薬草利用を通して〜」

鬼頭弥生「工芸品の生産・流通・消費と「真正性」―有松・鳴海絞りの事例から―」

坂崎広志「インタラクションとしての共同性:会話分析の見地から」

竹本遥子「漁撈サーミ人の知識と世界観の研究に向けて」

福西加代子「戦争・軍隊博物館における文化の展示−負の文化を展示すること−」

山野香織「醸造酒チャガをめぐる社会関係の変容―エチオピア南部、コンソからの移住と適応―(仮)」

山内熱人「メキシコ出稼ぎ移民の向都移動における実存的要因の探求〜予備調査に向けての研究計画〜」


日時 1116日水曜日 13:0018:55
場所 人環B23(地下大会議室)

13:0013:25 池田瑞恵 
「意味づけられる身体の経験―現代日本における性同一性障害医療の展開を背景として―」
90
年代後半における、「性同一性障害」という科学的仮説の登場は、セックスとジェンダーに関する従来の医学的言説を覆し、「性転換」医療の公認への道を開いた。この経緯は、自らが男/女であることに違和感を感じている人々にとって、自らの「本当の性」を見出すきっかけとなることも多く、医療技術などを用いて別の性の身体で生きる可能性も指し示すこととなった。本論では、「間違った身体」に生まれてきたという感覚や、自分の「本当の性」を取り戻す様々な道筋を取り上げる。そこで、医学的言説がいかに身体とその経験を形成するのかを考察する。と同時に、身体的経験のリアリティが、いかに資源としての言説を利用し、医療などの場における実践を塗り替えてゆくのかも示す。

13:2513:50 内山正太 
「世帯編成と出家―インドヒマラヤ・スピティ地方の事例を通して―」
本研究はインドヒマラヤ・スピティ地方における世帯編成について考察するものである。本研究に関する調査を行なったスピティ地方はチベット仏教が優勢な地域であり、そこでは長子以下の兄弟を出家させるという出家慣行が存在する。このような出家慣行は世帯編成において世帯から人員を排出することの重要な局面である。しかし同時に、世帯は結婚、相続を通じた世帯への人員補充によっても編成される。本研究の目的は、スピティ地方の世帯編成においてこのような排出と人員補充のプロセスが複雑に絡まりあっている様を、世帯と一種象徴的な家屋との関係のなかで世帯がどのように編成されるのか、そのプロセスに着目しつつ明らかにすることである。そこでは、世帯の文化的社会的個別性に着目するために、「世帯」に該当する土着の言語にも注目しつつ考察する。そしてでここで取り上げた事例の考察を通じて、世帯が個別には存続できず、世帯の維持のためには構造的に世帯外の「他者」を必要とし、それゆえに世帯は外部からの影響が入り込む隙間を常に持ち合わせた存在であることを示唆しいきたいと考える。

13:5014:15 大野哲也 
「自分探し」の旅という神話を超えて−アジアにおける日本人バックパッカーの調査から−」
アジアを旅している日本人バックパッカーの調査をとおして、グローバル化(均質化)とローカル化(個化)がすすむアイデンティティの問題について考えてみたい。 具体的には、ノイが理論的枠組みを提示した「バックパッカーの自己変革」の論理を紹介したうえで、本稿では、それでもなお、「自己変革」を求めて旅に出た者も、結局は「なにも変わらなかった」と主張する。つまり、世界を放浪する日本人バックパッカーたちが繰り広げる旅の実践を通して、現代日本社会の支配的な価値観(立身出世主義)からの離脱を求めた者が、自発的に日本社会に回帰してくるメカニズムを提示し、構造が構造外のものを構造に取り込んでいくプロセスを明らかにする。そのうえで、バックパッキングの可能性について展望する。

14:1514:40 加藤裕美 
「狩猟採集民にとっての”獲得”と”消費”−サラワク・シハン族における野生動植物利用より」
ボルネオ島の内陸部では、大規模伐採によりここ数十年で周辺環境の急激な変化を迎えた。森林を基盤として生活をするシハン族の自然利用もこれによりまた大きな影響を受けたはずである。これらの影響を彼らの森林産物の利用を“獲得”と“消費”という点から分析することにより、検討したい。森林産物利用の分析にあたっては、以下の3つの着眼点から行なった。@野生動植物が“獲得”される段階への着目A獲得された動植物の”消費”に あたって、村内での”消費”への着目B動植物の村外での”消費”への着目である。各段階での村人の行動を細かく分析、考察することにより、村、森、マーケットという3点をめぐる森林産物の重要性について考察したい。

14:4015:05 工藤藍子 
「山村の暮らし−山形県小国町小玉川地区の事例から−」
小玉川地区では、クマ、ウサギの狩猟、山菜、キノコやその他動植物の活動といった山林資源が利用される。個々によってさまざまに異なる山林資源利用形態と行事への参加をみることによって、人びとの山の認識を明らかにしたい。

15:2015:45 児玉夏子 
「ローマにおけるネコ・ボランティアの実践とその社会的位置付け(仮)」
イタリア・ローマでは、ノラネコが「生存権」と「居住権」を併せ持つ存在として法的に規定されている。また、フィールドワーク中に行った地域住民へのアンケートでも、ノラネコの存在を肯定的にとらえる意見が多く見られた。しかし、一方でノラネコを捨てる習慣があり、「保護されている」とは言いがたい側面も観察された。このような状況下で、ノラネコのボランティアに焦点をあて、その社会的意味や位置付けを法的観点あるいは地域住民の認識などを通して考察する。

16:1016:35 徐玉子 
「駐韓米軍基地村の女性たちの生活世界とネットワークー韓国京畿道安亭里の基地村よりー」
基地村の女性たちの生を一般的に表象される、服従的.依存的といった「韓国人女性像」に照らし合わせて、そのズレに着目し、家父長制の「犠牲者」のイメージで表象されることを拒む彼女たちの生をより積極的で肯定的に捉え、その生き方の発する意味を探りだす。「韓国人女性像」に合致しないばかりか、むしろその家父長制に挑戦する韓国人女性という観点から基地村の女性たちの生を描く。

16:351700 高田彩子 
「生野の『朝鮮寺』におけるニューカマー住職の台頭」
大阪生野区は在日コリアンが多く居住してきた。生野の街を歩くと民家の前に「卍」マークや「〜寺」の看板が頻繁に見られる。これらの在日コリアンの「朝鮮寺」 には多くのニューカマーの韓国人が出入りしている。今回の発表では生野区の「朝鮮寺」の歴史を整理し、ニューカマーが代表となっている寺を事例に、在日コリアンの宗教文化の変容に応じたニューカマー住職の積極的な活動の様子を紹介する。彼らの宗教活動がいかに自然に信者らに受け止められているかを、信者へのインタビューから検証し、在日コリアンの生活の多様化と在日文化の再編が個々人の選択を通じて進んでいること、さらにはこうした「宗教の個人化」によって在日コリアンの宗教が日本人に受容されていく可能性を検討する。

7:1517:40 陳暢 
「マイノリティの言語から見る民族的アイデンティティの維持―中国シーサンバンナのアカ族の言語使用の分析を事例に」
現在までの中国マイノリティ言語の研究は、消滅の危機にある言語の記録を残すことを目的とした言語学的研究、もしくは少数民族言語政策の下での言語使用状況に関する社会言語学的な調査がほとんどであった。しかし、そこでは実際にマイノリティ言語を使用している人々がどのような状況で自らの言語で語り、それがいかに民族的アイデンティティにつながっているかということが明らかにされてこなかった。そこで修士論文では、まず、マイノリティ言語としてのアカ語の使用環境や状況に注目し、中国の少数民族言語政策を背景に、アカ族を取り囲む言語状況及びアカ族やアカ語の位置づけを明らかにする。また、フィールドワークで取った日常生活及び儀礼の場で行われる会話や儀礼言葉の事例に焦点をあて、漢語に影響されながらも、アカ語を媒介とした日常的な生活実践や儀礼を通し、アカ族が民族としての連帯とアイデンティティを維持していることを考察したい。

17:4018:05 中森千尋
「階層化するラスタコミュニティのゆくえ」
今回の発表では修論のタイトルと、問題意識を踏まえた章立て、全体の流れを概説する。「ラスタコミュニティ」を主眼におきながら先行研究と比較するとき、エチオピア・シャシャマネのラスタコミュニティのおかれた状況がいかに特異であるのかを明示し、特にそれをラスタ内部の階層関係に着目することによって説明する。かつてラスタファリアニズム運動の結束は低所得層集団に起因し、逆に経済的に階層化したラスタコミュニティでは運動の結束が見られない。こうした状況が原因となって、最後に運動の終焉地といわれたエチオピアで新たな理想郷を模索するという運動のパラドクスを示す。

18:0518:30 錦織承平 
「奄美大島南部・潜水追込網漁と漁師の成長」
追込網漁師がどのような段階を経て漁の技術と技能を身に付けるのか。そして彼らが漁師としてのさらなる成長を果たしていくうえで、現在の奄美大島南部の潜水追込網漁はどのような役割を持っているのか。潜水追込網漁の持つ複雑な技術と技能の詳細、潜水、集団、継承、段階的熟練といった特徴を分析することから明らかにする。

18:3018:55 渡辺文 
「芸術家の生まれるとき―オセアニア文化復興運動における新展開」
近代西欧の芸術論において芸術家とは、社会に対して徹底的に反逆する個人として捉えられる。それに対して西欧流の芸術論を相対化すべく人類学の見出した方法とは、芸術をコミュナルな営為として捉える方法である。調査対象であるフィジーのオセアニアセンターは「オセアニア的」な「芸術」をつくり出そうとする集団である。「オセアニア的」とはたとえばしごと過程の開放性や、結果の集団性のことをさす。一方で彼らがオセアニア性を出力する手段として選んだものは「芸術」であり、 西欧より発したその定義からしても、メンバー自身の解釈からしても、個人性の非常に高いおこないであるといえる。相反するかのように見える「オセアニア性」と「芸術」とのあいだで葛藤を繰り返しながら、彼らがどのように芸術という孤高の丘へと這い上がり、またその丘を降りていこうとするのかを追うことで、近代西欧の個人=芸術論にも人類学のコミュナル=
芸術論にも回収されないような芸術のあり方を考察したい。


2006年度

2006/4/21 修論合同ゼミ
神本秀爾 「カリスマ亡き後のラスタ・コミューン〜ボボ・シャンティの信仰生活」
坂崎広志 「慢性統合失調症患者の社会的相互行為の分析」
土本麻紀子 「正当な価値を創る:京都の骨董競り市から」
福西加代子 「軍隊・戦争の展示―呉市海事歴史科学館・大和ミュージアム―」
河西瑛里子「ペイガニズムの先行研究についてのレビュー及び本調査の計画について」


M1合同ゼミ
日時: 712日(水) 1時半〜
場所:人環333

13:30-13:55 越智香代
「日本におけるセックスワークの人類学的考察―三重県志摩市渡鹿野島の事例を中心に―」

13:55-14:20 是枝邦洋
「科学者共同体のエスノグラフィーにむけて」

14:20-14:45 束洪芬
「「於菟」祭りからみる青海省土族の族源の人類学的な再考」

14:45-15:10 武田竜樹
「ベトナム南部における仏教の人類学的研究に向けて」

15:10-15:25 休憩

15:25-15:50 趙芙蓉
「内モンゴルにおけるシャマニズム復興現象の文化人類学的な研究」

15:50-16:15 橋本章
「チベット文化圏における民間信仰および日常的宗教実践の研究」

16:15-16:40 中谷和人
「病い・障害・技芸―現代日本における障害者芸術/アウトサイダー・アートの人類学的研究」


1129()M2合同ゼミ( 修士論文構想発表会)
日時:1129日(水) 1時半〜
場所:人環333
13:30-13:55
池田篤史「儀礼から芸能へ 現在のマオリ音楽の諸相 〜ローカルな活動から〜」
13:55-14:20
大城佳子「カミサマとして生きる〜鹿児島県桜島の事例より」
14:20-14:45
山内熱人
「村を出ることと村で生きること:メキシコ、オアハカ州の一村落の事例から」
14:45-15:10
内山正太「家屋と土地を巡る世帯戦略とその限界 〜インドヒマラヤ・スピティ地方の事例を通じて」
15:10-15:25
 休憩
15:25-15:50
神本秀爾「エチオピア・アフリカ国際会議派ラスタファリアンの適応戦略」
15:50-16:15
河西瑛里子「女神運動の文化人類学的研究−イギリスのグラストンベリーを事例として」
16:15-16:40
土本麻紀子「骨董の値はどう決まるのか〜京都A店の戦略から」
16:40-17:05
福西加代子
「博物館における軍隊の記憶と展示−大和ミュージアムを事例として」


1222()菅原・田中合同ゼミでは、是枝、池田瑞恵、徐が以下について発表する予定です。
日時:1222()1330
場所:場所:総合人間学部棟1207教室
●発表者:是枝
●タイトル:なぜサルを殺すのか−ニホンザル雑種化問題をめぐって

●要旨:現在、日本各地でアカゲザルやタイワンザルなど外来種の駆除事業が進められている。「交雑によるニホンザルの絶滅を防ぐため」「在来生態系を守るため」という理由で、すでに300頭以上が捕獲・薬殺されている。ここにはどのような動物観・自然観が反映されているのだろうか。また、駆除にまつわる言説のなかに、「遺伝的攪乱」「生態系の崩壊」などの科学的な概念は、どのように現れるのだろうか。今回の発表では、実際に駆除事業を進めている業者の方々に伺った話をもとに、このことを考えてみたいと思います。

●発表者:池田瑞恵さん
●タイトル:「ヤミ」性転換医療のアンダーグラウンド化と復権―公的な性同一性障害医療確立の背後で
●要旨:今回の発表では、性同一性障害を正当な「医療」の一環として確立しようとする過程と、その際に起きた「ヤミ」医療のアンダーグラウンド化について検討し、さらに、ごく最近起こっている「ヤミ」医療の復権の動きを紹介します。死亡事故を含む数々の医療事故から「人殺し」と罵られつつ、その一方で(公には禁じられている/難しい)性転換手術を求める人たちにとって、「赤ひげ」のような存在でありつづけた「ヤミ」の医者たち。トランスジェンダー当事者と「ヤミ」医療との関係を探るなかで、医療の正統性、身体の自己決定といったテーマを考えてみたい。

●発表者:徐玉子
●タイトル:「犠牲者の表象を乗り越えて語り始めた女たち」から考える
●要旨:今回の発表では、現在作業中の投稿論文草稿の論旨を明確に提示するための方法を模索したい。韓国の米軍基地村でのフィールドワークで出会った元売春女性たちの経験の語りから、最近の売春女性をめぐる、「犠牲者」論対「行為者」論の二項対立を乗り越える視点のあり方を

1222()合同ゼミ後打ち上げ
場所:百万遍の「韓のおしり」

料理は一人2,500円、90分間の飲み放題1,000(1,500円ーキャンペーン割引)
飲み放題を選ばれない方は料理代+ご注文の飲み物代でOKです。それで、参加予定の方に「飲み放題」にするか、「飲み物別」にするかをメールで、水曜日(20)までに知らせていただきたいです。今までの参加予定者は下記のとおりですが、間違いや変更があった場合も同じく水曜日(20)までお知らせください。

菅原研:総12
・教官:菅原先生
・院生:坂崎さん、池田さん、中谷さん、是枝さん
・学部生:阿部さん、小室さん、竹田さん、小野さん、坂本さん、青野さん、潮田さん

田中研:総9
・教官:田中先生
・院生他:小池さん、神本さん、内山さん、福西さん、武田さん、河西さん、朴さん、徐


2007年度

 

に第一回目の合同ゼミ「修士論文構想会」

日時:4252:30
場所:人環棟のB23(A) 
発表者およびタイトル:
2:30-3:00 是枝 「なぜサルを殺すのか―ニホンザル雑種化問題をめぐって」
3:00-3:30 中谷 「日常的実践としてのアート―障害者授産施設における表現の現場から」(仮)
3:30-4:00 竹本 
4:00-4:30 趙  「内モンゴルのコルチン地域におけるシャマニズム「復興」現象について」 (仮) 

6月24日博論合同ゼミ

時間:3:00

発表者:ティナ・ペネヴァ

    小池郁子


7月4日()M1合同ゼミ(修論計画)

☆時間:13:4517:00(予定)
☆場所:院生室がある棟の1102号室

☆プログラム:発表タイトルと要旨☆ 

13:4514:10 古阪馨

「現在と未来をめぐって」

他者と自己の出会いの先の物語を描くための素描として、先行研究や関心・「調査」項目などを具体的なレベルで提示する。

 

14:1014:35 阿部優香

「カンボジアにおける伝統染織の復興()

 本研究の目的は、内戦により強制的な断絶をみたカンボジアの染織文化の現在を通して、布をつくる人間と、つくられる布とのかかわりを明らかにすることである。
 布が、生活必需品としてあらゆる人間が使用する一方で、「伝統的なもの」とまなざされてもいる点に注目し、カンボジアにおける手織布生産を語るうえでの、「生きなければならない人々の活動」と「伝統文化の復興」という2つの視点の接合をこころみたい。

14:3514:45 10分休憩

14:4515:10 Shashnina Olga

「現代社会における美容整形の役割」

現代の社会において美容整形の果たす役割がどのように変化しているのか、また肉体美と個人のアイデンティティはどんな関係があるのかを明らかにする。また、日本では最近 急激な伸びを示している美容整形をトピックとして取り上げ、広告の分析を中心に、美容整形にまつわる欧米志向を分析する。美容整形と一般民衆との関係にも注目したい。

15:1015:35 梅本響子

「アフリカ系移民によるFGCを考える―フランスの事例から―」

主にアフリカ大陸やアラビア半島の各地で実施されているFGC(女性性器切除)は、当該社会の人々の欧米諸国への移民に伴い、アメリカ合衆国やヨーロッパ諸国などでも実施されるようになった。移民を受け入れる側の国々は、FGCを取り締まる法律を定めるなどの方法で対応している。フランスでは主にマリやセネガルなどの西アフリカからの移民によってFGCが実施されているが、裁判を行うことによってそれを取り締まろうとしている点が特徴的である。本発表では、移民社会におけるFGCの変容を、フランスの裁判に焦点を当てることによって考察したい。

15:3516:00 富谷周

「ミクロネシア連邦・ポーンペイ州移民の人類学的研究」
 本研究は、「なぜ人は海外に移住し帰らないのか」「貨幣経済への変化を人々はいかに捉えているか」という二つの疑問を基に、ミクロネシア連邦・ポーンペイ州の国内及び海外移住動向を対象とする。
 焦点は、ミクロネシア特有の段階的移住と、帰巣意識(土地と家族関係)が強力であるにも関わらず送金がそれほど顕著ではないという矛盾である。この矛盾の原因として、北マリアナ(サイパン)の経済的繁栄を羨む一方で、伝統性の消失を危惧するポーンペイ人を想定する。
 国内の開発や貨幣経済への変化に対する人々の反応をアプローチ法とすることで、移民研究に新たな視座を加え、グローバル化の本質を追究する。

16:0016:10 10分休憩

16:1016:35 後藤圭孝

「鉱山都市における人類学調査」

 この調査は鉱山における人類学的調査を目的としたものである。鉱山に関する研究は経済労働史、生態人類学、環境人類学、産業遺産の観光化という視点が主なものであった。しかしそこでは触れられることのなかった、採掘された物質の世界的な移動という観点から出発し、鉱山都市という期限付きの「場」に足をつけて生きている人々に焦点を当てる。

 現在の調査地としてはアフリカ南部・ナミビアを予定している。この国は豊富な鉱物資源に恵まれ、国内に多くの鉱山が存在する。調査者はいくつかある鉱山の中で、ロッシングウラン鉱山に注目しその周辺に誕生したArrandis市のフィールドワークを通して、鉱山都市の地域性と採掘された物の流通を考察したい。

16:3517:00 翟魯寧

「観光化された「伝統文化」の存続と操作――中国貴州安順地域における「屯堡文化」の事例から」

 「伝統文化」、「地域特色」が観光のスローガンとしてよく用いられるのは既に周知の通りであった。ある地域に存在する文化の展示、再現、もしくは新たなものの創出によっては、観光地側の内部もまた階層化されたことが考えられる。「伝統文化」、「地域特色」を共通する共同体を作るため、このような階層化はある程度無視されたように思われる。

従来の政府や旅行会社による開発に対し、現地の人は今自分で観光計画を作ろうとしている。したがって、何か新しい状況が生じてくるのか、と私は確かめたい。そこで、観光開発にまつわる矛盾を乗り越える実践のあり方を考えてみたい。


博論ゼミ
日時:101日(月)10:00〜 
場所:京大人文研212号室
発表者:宮本万里、石坂晋哉
今回の発表はいずれも南アジア学会発表の予行演習です。

修論合同ゼミ
 

日時:1130()13:3017:10(予定)
場所:
総人棟1207号室(院生室がある階の端の部屋)

発表タイトルと要旨:

 

13:3013:55 坂崎広志 ()

慢性統合失調症患者のグループホームの相互行為分析
 グループホームという共同生活の場において、スタッフとメンバーの間でどのようなインタラクションのかたちが作られているのか。精神障害者のグループホーム施設における調査で得られた会話断片を用いて、施設のスタッフとメンバー(慢性統合失調症患者)の間のやりとりを分析していきます。その論文全体の構想を発表していきたいと考えています。

13:5514:20 竹本遥子

大規模現代漁業における漁師の戦略 ―スウェーデン西海岸の事例から―
ニシンの漁獲量の減少と漁獲割当制度の変更、ヨーロッパ連合による全体的な漁獲制限強化、大規模企業化など、変化著しいヨーロッパ漁業の中で、スウェーデン西海岸の大規模沖合・遠洋漁業に従事する漁師が、どのような戦略でもって生き残ろうとしているのか。
本論では、この問いを主に漁船の売買・漁獲割当量の売買・漁獲対象の変更などの比較的最近起こった事例を中心に考察し、スウェーデン漁業の未来を見据える漁師の姿を描き出すことを目的とする。

14:2014:45 橋本博人 ()

都市と農村のあいだ −越後妻有アートトリエンナーレ2006を事例に−

観光人類学的研究の議論の基本的な構図(ホスト−ゲストの二項対立)を継承しつつも、共同性をめぐるポリティクスといった問題に焦点をあてて調査地での出来事を考えてみたいとおもいます。

14:5515:20 山野香織

プロテスタント化と酒の社会空間―エチオピア西南部コンタ地域の事例から

エチオピア西南部コンタ地域の各集落では毎週決まった曜日に定期市が開かれ、なかでも調査の中心地であるチャバラという集落では、週に3回の定期市が開かれており、特に目立つのがローカル・ビールを中心とした酒場である。チャバラは20世紀半ば以降、欧米の宣教師によってプロテスタントが侵入し、現在ではチャバラの約90%がプロテスタント信者である。チャバラに浸透したプロテスタントは一夫多妻制度を禁ずるほか、アルコール飲料を飲むことを禁止している。しかし、そのようなプロテスタント化したチャバラにおける「脱アルコール化」という現象にも関わらず、伝統的な酒造りが維持されており、特に定期市では酒場という空間が存在し、プロテスタントの人びとも飲酒をおこなっている。本研究の目的は、「脱アルコール化」したにもかかわらず、飲酒習慣が持続されているチャバラにおいて、ローカル・ビールや外来の酒をとりまく環境に注目し、なぜ人びとは酒を飲むのか、人びとや社会にとって酒はどのような機能を果たしているのか、ということを明らかにすることである。

15:2015:45 是枝邦洋

在来を守り、外来を殺す:ニホンザル雑種化問題をめぐる葛藤
1990
年代以降、日本各地でアカゲザル(Macaca mullata)やタイワンザル(Macaca cyclopis)などの外来ザルとニホンザル(Macaca fuscata)の交雑が問題とされ、駆除事業が進行している。
この「在来種・在来生態系を保護せよ」「外来種は排除せよ」という生物学の語彙に彩られた主張の背景には、どのような自然観が横たわっているのだろうか。
また、そのような自然観に基づいて実際に駆除を行なっている人々は、駆除すべきサルたちとどのように関わっているのだろうか。
本研究では、主に駆除事業者に焦点を当て、生物学の理論が人々の実践に与える影響と、それに還元されえない現場の人々と外来ザルのかかわりを描き出す。
これにより、人間と動物の関係に対し、科学がどのように入り込んでいるのかを浮き彫りにしたい。

15:4516:00 趙芙蓉 ()

「ほんもの」と「にせもの」という言説を越えて生きる

−うちモンゴルのホルチン地方におけるシャマニズム再活性化より―

本論では、中国内モンゴルのホルチン地方で80年代から現われたシャマニズムの再活性化に注目する。現地における「ほんもの」のシャマンと「にせもの」のシャマンという言説を越えたシャマンの実態を宗教実践の事例をもって明らかにする。

ホルチン地方のシャマニズムはモンゴル・シャマニズムの一つの支流に属する。ホルチン地方は中国の東北地方に位置するという地理的条件によってツングース系諸民族のシャマニズムの影響や漢民族のシャマニズム及び道教などの影響をうけてきた。また、チベット仏教のホルチン地方への伝来によってチベット仏教と対立し、後に融合を果たした。中華人民共和国の建国以後、「迷信」として位置づけられ、特に文化大革命の時代大きな被害をうけた。しかし、80年代から再活性化し始めた。その再活性化は決して文化の復興という一つの枠組みにとらえきれない多様性に満ちている。

しかし、従来ホルチン・シャマニズムに関する研究では、「不正統」・「にせもの」として狐や鼬などの動物の憑依霊をもつシャマンの存在が不当に無視され、何がホルチン・シャマンの昔ながらのありのままの姿かというほんもの志向が見受けられる。

そこで、本論はまず動物の憑依霊をもつシャマンを含めたすべてのシャマンを研究対象とし、現地における「ほんもの」のシャマンと「にせもの」のシャマンというシャマンに関する以下の言説の存在を明らかにする。

    「ほんもの」のシャマン =つまり昔ながらのありのままのシャマン、まず憑依霊がなくなったシャマンの霊であること。

    「にせもの」のシャマン =いわゆるありのままではないシャマン、狐や鼬などの動物霊が憑依しているという疑いのあるシャマンのこと。

次に、「ほんもの」のシャマンと「にせもの」のシャマンの入巫過程や病気治療、占いなどの宗教実践の事例を対照的に論じ、言説の以下のような実態を明らかにする。

分析結果:

1)シャマンの個々のスタイルが多様である

2)「ほんもの」のシャマンがシャマンの歴史がわかることと伝統儀礼(天を祭る儀礼など)ができることがわかった

3)病気治療や占いなどの宗教実践においては大きな違いが見られなかった

4)ホルチン・シャマニズムを理解するため、現在の活性化も視野にいれるべきである。さらに、憑依霊という存在のもとで、「ほんもの」と「にせもの」という言説を越えてシャマンとして懸命に生きるシャマン像があきらになった。

以上より、「ほんもの」と「にせもの」というのは言説であり、憑依霊という存在こそがシャマンをシャマンにしているということが明らかになった。

16:2016:45 中谷和人

障害をもつ人びとの「芸術/アート」はいかに語りうるか―授産施設における創作の現場から―
本研究の主たる目的は、@障害をもつ人びとの創作に「芸術/アート」の権力性がいかにあらわれてくるのか、またAそれら創作活動は障害をもつ人びとそれぞれの生活のなかでいかなる意味を帯びているのか、以上を具体的な事例から明らかにすることである。
@とAを通して論じることで、障害をもつ人びとの「芸術/アート」の語りがたさ、そしてそれがいかに語りうるかを探っていく。

16:4517:10 橋本章 ()

チベット人移住者集団による地域コミュニティ形成に関する人類学的研究

チベット文化は「谷ごとに文化が違う」といわれ、その多様性が大きな特徴の一つである。しかしこのチベット人の生活は近年の中国政府との関係の中で大きく変化してきている。特に西部大開発による生業の変化による生活の変化が著しい。
 発表者のフィールドのリタンでは,他の地方(主にバタン)から移住してきたチベット人が,自身の地元での日常・非日常(宗教儀礼など)的慣習を維持して生活している。具体的にはそれは管家=ガンジャ制度(自治会的な世話役集団)にもと付く同郷集団の形成と,その中での付き合いを重視する様子が観察できた。そしてこれは、バタン人であるという地域意識が維持されていることであると感じた。
 移住者集団のコミュニティとチベット人の地域意識を支えるものは何なのか、具体的事例から移住者=バタン人側の日常生活とリタン人側のそれとの比較、文献資料を通して明らかにしたい。


2008年度
 
 
M2合同ゼミ
 
日時:42513時半より
場所:1207(総合人間学部棟)
発表者:牛、橋本、オルガ
13:30〜 牛(山田研)
14:00〜 橋本(山田研)
14:30〜 オルガ(田中研)
●発表者1:牛孟洋
●タイトル:「逃走した青年たち」から見た在日中国人留学生の成長
●要旨:本発表は、過去一年間の調査経過を報告する。つまり、修士論文の概観を示してみたいと思っている。
 発表では、まず研究の目的を究明し、先行研究を紹介して、研究対象を明確にする。
 研究の目的は、「中国人留学生」を対象とし、「なぜ留学なのか」という問いをめぐって生じる理想と現実のギャップが、彼/彼女らの成長をどのように影響しているのかを明らかにしようとする点である。
 先行研究は、おもに留学生研究について紹介したいと考えている。
 研究対象は、内モンゴル地域から日本にやってきた中国人留学生である。
 続いて、流出地である中国側の影響を明らかにする。この部分は、大学時代の卒業論文の内容を紹介しておきたい。
 そして、具体的な事例として、中国内モンゴル地域からの中国人留学生への聞き取り調査した内容を解釈することを試みる。
 最後に、これからの研究計画を報告する。
●発表者2:橋本章
●タイトル:チベット族の生業現状−冬虫夏草採集の現場から−
●要旨:私が調査を行った中国四川省チベット族自治州理塘県においては、カム地方の伝統的な生業である牧畜ではなく、その副業に過ぎなかった薬草採集、特に
冬虫夏草採集とその売買による現金収入に依存して定住生活を送っているチベット族が暮らしている。
今回の発表では、採集地における人間関係・生活、採集活動、「採集地」をめぐるチベット牧畜民との関係を通して、冬虫夏草採集による生計がどのように成立
しているのかを明らかにしたい。
●発表者3:オルガ
●タイトル:現代社会における美容整形の果たす役割とその影響
●要旨:a.. 美容整形とマスディアの関係性、また 美容整形と社会的認識の関連はどのような経緯で発展してきたのかについて全体的に概観しておく。
a.. 日本の社会における欧米志向、白人志向
a.. 美容整形手術を受けることになった人の考え・動機付け・期待される効果など。
a.. 現代社会における人気のある美容整形手術のリスクと効果(医師の話から)

M1合同ゼミ
 
日時:74日 13開始
場所:1207(総合人間学部棟2階)
発表時間:発表15分、質疑応答5
13001320 芦田(田中研)
13201340 高橋(田中研)
13401400 朴(田中研)
14001420 林(菅原研)
14201440 (休憩)
14401500 加藤(山田研)
15001520 関(山田研)
15201540 長谷川(山田研)
 
●発表者1:芦田亮太
●タイトル:韓国における伝統の表象をめぐる相互作用
●要旨:本研究では、韓国の伝統的な村をモチーフにしたテーマパークや、保存されている伝統的な町並みにおいて、韓国の伝統がどのように表象されているのか
を調査する。また現地の人々によって伝統とは何かということを考える。
特に、伝統が表象される際の、伝統の担い手と、それを見にくる外部の人々との相互作用を注意して見る。都市居住者や観光客は、伝統にどうあって欲しいと期待するのか。またその期待は担い手たちによる伝統の表象に、どのように影響するのだろうか。このような相互作用を通して伝統が創られる過程を見ることによって、伝統というものの本質に迫ることができると考える。
本発表では、先行研究の整理を交えてこのことをより詳しく説明するとともに、調査対象として韓国を選んだ理由や、研究の方法と見通しなども合わせて説明する。
●発表者2:高橋景子
●タイトル:異性を装う―女性用下着を纏う男性を中心に―
●要旨:発表者は、主に女性用の下着を身に着ける男性に注目し、異性の下着を身に着けることが、彼らの身体やジェンダー観にどのように関わっているのかを追
求していきたいと考えている。
本発表では、フィールドワークへ向けて、先行研究を紹介し、雑誌や新聞などのメディアで女性下着を身に着ける男性という存在が、どのように表象されている
のかを概観する。
●発表者3:朴眞煥
●タイトル:徴兵を拒否する人たち―韓国社会における徴兵拒否運動と日常実践
●要旨:本研究は韓国社会における徴兵拒否運動を通して、徴兵制が人々の日常にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることである。
これまでの研究(朴200520062007)では大学における徴兵制が「現役」や「予備役」の共同体を生み出し、男子学生の日常をいかに画一的に制限するのか、また、男性だけではなく、女子学生も軍事文化を利用する事例を通して、徴兵制が生み出す日常を明らかにした。しかし、これらの研究には徴兵制が生み出す日常がどのように変化しているのか、そのプロセスについての言及がなかった。
このプロセスを探るために、徴兵拒否運動に関する研究が必要である。
 韓国社会において、徴兵制の正当性に疑問を呈することはタブー視され、制度としての徴兵制は強まり、徴兵を拒否すると刑務所に行かせられる。にもかかわらず、徴兵を拒否する人の数は増え続けている。2001年から活発化した徴兵拒否運動がいかなる意味を持つのだろうか。
徴兵拒否運動に関わる人々の日常に迫ることで、徴兵拒否運動が徴兵制や徴兵制の社会表象にいかなる変化をもたらすのか、徴兵拒否者はどのような日常を営ん
でいるのかを明らかにすることが研究の目的である。
●発表者4:林宏壮
●タイトル:中央アンデス高地の儀礼における音楽機能の文化的、社会的研究
●要旨:音楽の機能を文化的、社会的文脈に沿って考察するため、儀礼における音楽の役割を研究したい。様々な儀礼において音楽が表現されるが、儀礼研究において音楽的側面は欠落しがちであった。アンデス高地に暮らす人々は山の神に対して農耕儀礼と牧畜儀礼を行っており、その儀礼においても音楽が演奏されている。そこで、彼らが行う儀礼における音楽の機能を研究する。
●発表者5:加藤隆史
●タイトル:カウンターカルチャーの人類学−沖縄の自然保護を事例として
●要旨:現在まで、カウンターカルチャー、ヒッピー、自然保護などが文化人類学者により中心的に取り組まれることは、あまりなかった。沖縄の本島もしくは、周辺の島をフィールドにして、カウンターカルチャーと思われる運動、思想やヒッピーと言われる人々による自然保護の実態を調査し、その意義を考えたい。
 具体的には、まず人々の生業、生計を維持する方法を調べる。特に自然と人間の関係を、沖縄でのエスノサイエンス、マイナー・サブシステンスなどの研究から学びながら、環境をできるだけ破壊しない農業などの生業を行っている人を中心に調査する予定。パーマカルチャーや特定の自然農、環境保護思想などよりも個人ごと、場所ごとの、独自の自然との相互交渉に注目する。(「地元」の人と新しく移ってきた人と両方を対象にする。)またメジャー・サブシステンス、つまりどのように生計を立てているか、またその仕事の内容を具体的に調査する。さらに子供の自然観、自然認識、政治認識についても調べることを目標にする。
 次に、現在開発が予定されている場所で、それに反対している環境運動やその地域について調べる。これには現在予定されている基地移転などの米軍基地の問題も含まれる。また、これに関連して反対運動の国内外のネットワークについて調べることを目標にする。
 なおここでいうカウンターカルチャーは外部から来た人、地元の人を基本的には区別せず、その両方を対象にする。また何に対するカウンターかは、さしあたり、国家、国家による第二次世界大戦から現在まで続く戦争と、国家や企業などによる自然破壊に対して、であると現段階では考えている。 
●発表者6:関健次郎
●タイトル:開発事業のその後
●要旨:この発表では関心の所在と調査予定地であるマダガスカルの概要及び調査計画を示す。開発プログラムによってもたらされたインフラを現地社会がどのように受容し、もたらされた利益を享受しているのかをマダガスカルにおける開発事業に焦点を当てて調査する予定である。
発表者7:長谷川アリスン江実
タイトル:第一回フィールドワークに向けた研究計画
日系アメリカ人の同化型アカルチュレーションとアイデンティティクライシス
要旨:発表者は、文化変容過程(特に同化型の文化変容)における集団アイデンティティの形成と変容への考察の為に、主に3世以降のハワイの日系移民の世代間のコミュニケーションとその断絶に焦点をあて、「モデル・マイノリティ」と呼ばれた同化型の移民の集団アイデンティティが今日迎える局面を探りたいと考えている。
 ハワイ・オアフ島における予備調査のフィールドワークへ向けて、研究の目的と背景、研究視座、先行研究の紹介、調査先の基礎データを含む研究計画の概要
を発表する。

M2合同ゼミ
 
日時:1126
発表者とタイトル:いずれも修論構想発表
越智「売春と生きる地域社会――日本の事例から」
武田「俗人篤信家の仏教実践とその社会関係――現代カンボジア東部村落部を事例に」
梅本「「共和国」の問題としてのFemale Genital Cutting ――フランスにおける規制・予防・治療から」
冨谷「「残された者たち」のトランスナショナリズムと社会変容――ミクロネシア連邦・ポーンペイ島の事例より
オルガ「Transforming Looks and Identity: Roles of Cosmetic Surgery in Contemporary Japanese Society
(容姿とアイデンティティーの変容――現代日本社会における美容整形の果たす役割)」

2009年度
 
M1合同ゼミ
 
日時:617(水)1330
場所:総合人間学部棟1102
@ 13:30-13:55 飯塚真弓(田中研)
「南インド、チダンバラムにおけるディークシタルの家庭祭礼について」
A 13:55-14:20 北川了次(田中研)
 「見せる側、見られる側の人類学的考察〜ヴァチカン市国における事例より〜(仮)」
B 14:20-14:45 佃麻美(菅原研)
 「アンデスにおける日常実践からみえる世界観(仮)」
C 14:45-15:10 鶴田宜江(山田研)
 「ラトビアにおける信仰と民族アイデンティティ〜祭儀から見るラトビア〜(仮)」
D 15:10-15:35 中屋敷千尋(田中研)
 「宗教実践の研究:インド・アルナーチャル・プラデーシュ州におけるチベット仏教信者を対象に」
休憩10分間 (15:35-15:45)
E 15:45-16:10 萩原卓也(田中研)
 「スポーツにおいてのジェンダー・ステレオタイプ再生産へ向ける"遊び"の役割 −minority、開発の現場から−(仮)」
F 16:10-16:35 秦玲子(田中研)
 「マオリのタトゥー『モコ』について」
G 16:35-17:00 光保謙治(田中研)
 「生活の伝統視にみられる諸関係(仮)」
H 17:00-17:25 松浦哲郎(菅原研)
 「コミュニティメディアの人類学的考察(仮)」

M2合同ゼミ
 
626日(金)修士論文構想ゼミ
開始時間:13時30分〜
場所:総合人間学部棟1207
発表時間:120分+質疑応答5
  
プログラム
@ 13:30-13:55 芦田亮太(田中研)
「韓国プロテスタント教会の日本における宣教活動について」
A 13:55-14:20 後藤圭孝(田中研)
「人工内耳手術の人類学的研究」
B 14:20-14:45 翟魯寧(田中研)
「アートをテーマにする観光文化の可能性―直島の事例から(仮)」
C 14:45-15:10 橋本章(山田研)
「四川省理塘県のチベット族冬虫夏草採集者に関する人類学的研究(仮)」
D 15:10-15:35  長谷川アリスン江実(山田研)
 「移民の故郷とは -ハワイオアフ島の日系アメリカ人四世を事例に-(仮)」

M2合同ゼミ

12月4日(金)修士論文合同ゼミ

 

開始時間:13時30分〜

場所:総合人間学部棟1207室

発表時間:120分+質疑応答5

 

プログラム

@ 13:30-13:55 芦田亮太(田中研)

「日本における韓国系プロテスタント教会の宣教活動」

A 13:55-14:20 後藤圭孝(田中研)

「人工内耳の文化人類学的研究」

B 14:20-14:45 橋本章(山田研)

「新たな生業選択と日常性の維持

―中国四川省リタン県チベット族冬虫夏草採集者の事例から―」

C 14:45-15:10 朴眞煥(田中研)

「徴兵拒否運動に携わる人々

―韓国、『戦争のない世の中』の活動家の事例―」

D 15:10-15:35 長谷川アリスン江実(山田研)

「オアフ島の日系アメリカ人"四世"の日本へのまなざし」

E 15:35-16:00 古阪馨(菅原研)

「地方と中央-地域文化としての能-


2010年度

 

M1合同ゼミ

7月2日(金)修論合同ゼミ

 

時間:1330

場所:総合人間学部棟1207

発表時間:20分+質疑10分

 

プログラム

@  李 愛蘭

「韓流ドラマの男性イメージとの闘い―日本人女性との結婚後、日本に定着した韓国人男性の社会・文化適応に関する研究」

韓国ドラマ「冬のソナタ」以降、日本人の持つ韓国に対するイメージ、好感度は大きく変化した。そしてその変化は韓国人男性に対するイメージにも多大な影響を与えた。韓国ドラマに登場する俳優のイメージは日本国内にて一人歩きし、韓国人男性との交際や結婚を考える女性も近年急増している。しかし、発表者はドラマの中の俳優のイメージとは異なる韓国人男性のアイデンティティ、すなわち家父長的家族構成および男児選好思想などに代表される男性中心的文化を通じて形成された韓国人男性の男性性に注目し、それらが衝突した時に韓国人男性にどのような葛藤、変化が生じるのか明らかにしていきたい。

A  江原等子

「南インド・タミル・ナード州における第3ジェンダーアラヴァニの研究」

ジェンダー/セクシュアリティ研究に問題を提起するものとして、インド、パキスタン及びバングラデシュなどのいわゆる第3ジェンダー(ヒジュラ)の存在はこれまでも注目されてきた。本研究は、タミル・ナード州の大都市チェンナイの海岸で売春と物乞いを生業とするアラヴァニの人々のもとで行うフィールド調査に基づいて、「男と女」を暗黙の前提とする人間という概念の外で、生まれ育った家、土地、さらにはジェンダー/セクシュアリティといった故郷を喪失して生きるということについて、またそこでありうべき共同の可能性について、考察することを目指す。

B  川本直美

「現代プレぺチャ人のアイデンティティの変容」

近年、メキシコの先住民村落はグローバル化や移民などで大きく変化してきている。本研究はそのような変化の中にあるメキシコ、ミチョアカン州先住民プレペチャ人の祭りへの参加形態を通して、プレペチャ人にとってのカルゴ・システム(自治的な行政的なおよび宗教的な社会組織)の新たな意義を解明するものである。それを通じて、彼らのアイデンティティの変容も解明できると考えている。調査する村は伝統を保持する村と変化の激しい村を選ぶことを予定している。

C  村上 慧次郎

「「伝統」技術の現在−クァンジャングルビを事例にして−」

発表者は食文化の中でも作り手の技術に興味を持っている。修士論文では、韓国・全羅南道のクァンジャングルビと呼ばれる魚の燻製の作り手を扱う予定である。韓国では、儒教原理が浸透しているため、伝統的に「モノ」を作る技術への関心が薄い。しかし、現在では既存の技術を再評価する動きがある。そのような中で、作り手たちは、実際にはどのような技術を持ち、その技術に関してどのように考えているかを調査する。それによって、伝統的といわれる技術の現在の様相について考察していく。

D  森下翔

「科学の文化的特性: 理論の構造性と実験の検証性の現象学的考察に向けて」

発表者は測地学研究室への参与観察を通じて、科学の文化的特性をフィールドワークという手法を通じて観察することを考えている。今回の発表では、多くの先行研究が科学の文化性の観察を逸してきたのは、構造論的な視点の欠如に基づくのではないか、という見方を提示する事を通じて、自身の参与観察の展望について報告したい。

E  李 娜

「江蘇省における農村女性の働き方の多様化と家内の性別関係」中国江蘇省の蘇北農村の女性の働き方の多様化の調査を通して、今日農村女性の家内の性別役割の変化を研究していきたいと考える。女性の働きの多様化は女性が性別平等の実現のために努力している表現であろうか。女性がある程度の経済の独立を達するとともに、女性がどのように自分の役割を考えているのであろうか。こういうような疑問を持って、自分の研究概要を紹介したいと思っている。


M2以上合同ゼミ

79()修論構想ゼミ

 

時間:1330〜1800頃

場所:総合人間学部棟1207

発表時間:20+質疑5

 

プログラム

@北川了次

「モノづくりの人類学的研究

―北イタリア・クレモナのヴァイオリン工房を中心とした―」

北イタリアのクレモナはアマティ、ストラディヴァリ、グァルネリといった今日では数億円で取引されるヴァイオリンの名器を生み出した名匠がその昔、工房を構えていた土地であり、現在においても約120もの工房が集中するヴァイオリンの一大生産地である。発表者はその中でヴァイオリンがどのように生み出され価値付けられていくのか、その過程を見つめていきたいと考えている。

A高橋景子

「隠岐の島における古典相撲の研究」

島根県・隠岐の島には、古典相撲という行事が存在する。全島を挙げて徹夜で行われるこの相撲は、神社遷宮、ダム完成、校舎新築など慶事があったときのみに開催される。相撲は人々の生活そのものに深く根付いており、古典相撲の取組結果や、開催の前後に行われるモノのやりとり、地域同士・人間同士の駆け引きは、その場限りのものではなくその後の日常生活や人間関係にも大きな影響を及ぼしている。本発表では、古典相撲の概略を紹介するとともに、今年2月〜4月上旬とGW中に行ったフィールドワークを通して得た成果を踏まえ、修士論文に向けての方向性を示したい。

B佃麻美

「アンデス高地南米ラクダ科牧畜における変容とその実践」

アンデス高地では、乳を利用しない特異な牧畜がおこなわれてきた。毛をとるためのアルパカと荷駄用のリャマがその主な家畜である。しかし、近年、道路網の発達のためリャマによるキャラバンが減少する一方、アルパカ毛の国際市場における需要の高まりによってアルパカの重要性が増していることが報告されている。発表者のこれまでのフィールド調査においても牧畜が変容している様子がうかがえた。本発表では、これまでの観察から得られたデータと先行研究との比較、そしてこれからのフィールド調査の展望について述べたい。

C鶴田宜江

「過去と未来を結ぶ歌ー時代に翻弄されるスイティの文化継承ー」

ラトビア共和国、Alsunga村に住むSuitiの人々の文化継承の実態を明らかにする。2009年にスイティの歌は無形文化財に登録された。ラトビアにおいてプロテスタントが多数派を占める中、スイティは熱心にカトリックを信仰し、独自の文化を形成してきた。近代化や経済悪化により、若者が村を離れていく中、どのように彼らが文化を維持し続けているのかを分析していきたい。ドローンに代表される独自の歌、踊り、民族衣装がスイティの主な特徴であるが、ドイツ、ロシア帝国、ソヴィエト連合の侵略を経て、今もラトビア共和国の中で独自の文化を保っている。621日から71日、特に623日に調査を行った夏至祭の模様などを織り交ぜ、今後の展開をこの場を借りて発表させていただく。

 D中屋敷千尋

「北インド・チベット社会における社会変容―スピティ社会における選挙の考察を通して」

 北インドのチベット社会では今、近代的な社会制度の導入を契機とした大規模な社会変容が進展しつつある。そして、その過程では社会的な「亀裂」や「対立」の激化もみられる。しかし、植民地時代において急速な近代化を経ていないスピティ社会における変動過程は、従来の研究が指摘するような、単なる近代への移 行あるいはそれへの抵抗という視点では捉えきれない別の側面を含んでいる。修士論文では、そうした問題関心のもと、スピティの社会変容が顕著にみられる「選挙」の考察を通して、どのような社会変容が起こっているのかを明らかにすることを目的としている。

E萩原卓也

「「痛み」から見えてくる関係性 ―女子プロレスラーの実践から―」

 本発表は、女子プロレスラーが身体で感じる様々な「痛み」から、レスラー同士の関係、レスラーとファンの関係を考察する。調査当初、発表者は女子レスラーのパフォーマンスと身体性に対して、ジェンダー規範を攪乱する契機を考えてきた。その変容の可能性は見受けられた。しかし、発表者が女子レスラーの練習に参加するようになり、また多くのレスラーに話を聞くうちに、レスラーのパフォーマンス/身体運動/身体感覚にもっと注目する必要を感じた。そこで発表者が注目したのが、レスラーが経験する怪我の痛み、練習での痛み、主に男性客からの猥褻な視線による「痛み」などである。このことによって、スポーツ・ジェンダー研究において蓄積されてきたジェンダー攪乱の可能性の議論に、身体的な「痛み」の構築過程を分析する視点を付与することで、その領域への寄与を目指す。

F松浦 哲郎

G光保謙治

「三宅島島民・在外島民の意識にみるコミュニティの意義」

東京都三宅島の島民約3,800人は、5年間の全島避難を乗り越え、現在故郷の復興を進めていると理解されている。しかし、ここで看過されているのは、帰島していない約1,000人の在外島民である。かれらが帰島しない理由として発表者が最もよく耳にしたのは、島のコミュニティに対する不満であった。避難中は行政・島民リーダーともにコミュニティの維持に腐心していたにも関わらず、それが島民の3分の1にとって否定的に捉えられているのである。そもそも、故郷やコミュニティなどは必要とされてしかるべきなのか。本研究では、三宅島と避難先、双方に暮らす島民の共同体意識を調査・分析することで、人類学からコミュニティ概念を再考してみたい。


M2合同修論構想ゼミ

 

日時:1126日(金)1330

場所:総人棟1207

 

<プログラム>

13301350 松浦哲郎

「コミュニティメディアの人類学的考察――トロントの公営住宅団地の事例から」

要旨:本研究は、社会学的に研究が進められてきた「コミュニティメディア」の概念に、人類学的な考察と分析を与えることによって、その再検討を迫ることを目的としている。また本研究では、人類学における実践コミュニティの概念を用いて考察を行っている。これまでメディア活動の現場を主要な研究対象としてこなかった人類学に、わずかながらも意義を与える研究としたい。調査対象は、トロントの貧困層向け公営住宅団地で、主に移民家庭の子どもたちが行うメディア活動である。

13501410 飯塚真弓

「ヒンドゥー寺院司祭集団の居住空間からみる宗教実践――南インド・チダンバラムのディークシタルの事例より」

要旨: 本研究の目的は南インド・チダンバラムで寺院司祭をつとめるディークシタルの宗教生活と彼らの居住空間について考察することである。これまでインドの居住空間をめぐる先行研究は、古代の建築書に基づき家屋に投影されたシンボリズムについて論じる静態的な研究が主流であった。本研究ではとりわけ建築をハビトゥスの図式の形成に重要な位置を占めると捉えたブルデュの視点を参考に、実践が生み出される場所としての居住空間に注目する。そこで、浄・不浄観に基づく実践と空間構造、家庭儀礼、ヴィルダム(誓戒)の3つの事例をもとに動態的な居住空間の考察を試みたい。

14101430 北川了次

「ヴァイオリンの伝統様式に関する人類学的考察――イタリア・クレモナにおける弦楽器製作者の事例より」

要旨:北イタリアの小都市クレモナは、ヴァイオリン製作のメッカと謳われ、今日ではイタリア人のみならず外国人も多数工房を構えている。そこで製作されるヴァイオリンは、一般的に伝統的クレモナ様式を踏襲していると言われているが、製作者のクレモナ伝統様式に対する考えはまことに多種多様である。本研究では約4ヶ月間のフィールド調査で得られたデータを基に、伝統的クレモナ様式とは如何なるものかを明らかにしていきたい。

14301450 高橋景子

「相撲で繋がる人々――隠岐の島町・旧五箇村における村相撲の文化人類学的研究」

要旨:本研究の目的は、隠岐の島町・旧五箇村地域で行われている村相撲が、当該地域においてどのような役割を担っているかを明らかにすることである。隠岐の島町・旧五箇村は相撲が盛んな地域であり、年間を通して相撲大会や自主組織による子供たちへの相撲の指導などが行われている。本発表では、当該地域における相撲の歴史や背景を踏まえつつ、主として113日の五箇相撲大会に際した稽古や直会の場で得られた事例をもとに上記の問題について考察する。

14501500   -rest-

15001520 佃麻美

「アンデス高地の南米ラクダ科牧畜における生計戦略と実践」

要旨:グローバル化の中、アンデス高地の牧畜は変容しつつある。本研究では、牧民の生活がリャマのキャラバンによる農作物の獲得からアルパカの品質改良へと変遷する中で、牧畜を営む人々の実践がどのようなものであり、何が継承され何が変化しているのかを報告する。まず、牧畜技術も含めた生活全般、生産物の取引について報告し、そして、彼らの生計戦略がいかなるものであり、将来に向けてどのような展望を持っているのかを明らかにしたい。

15201540 鶴田宜江

「歌に込められたスイティーーラトビア共和国アルスンガ自治区で歌われるブルドーンの変化と維持」

要旨:2009年7〜9月と20106月夏至祭、729日〜107日に行ったフィールドワークを踏まえて修士論文について発表させていただきます。ラトビア共和国アルスンガ自治区に住むスイティという人々のブルドーンという即興歌が修士論文の焦点になります。十字軍、スウェーデン、ロシア帝国、ドイツ、ソヴィエトと度重なる侵略時代を経て、歌い継がれるブルドーンが現在、EU統合、UNESCO登録といった状況の下でどのように変化を遂げまた、維持されているのかを検証します。ブルドーンのテクスト(旋律、歌詞)とテクスチャ(継承、空間、舞台)を分析し、ブルドーンの文脈変化を描きます。修士論文の構想に向けてアドバイスをどうぞ宜しくお願いします。

15401600 萩原卓也

「痛みと受苦の経験から生まれる関係性―女子プロレスラーの事例から―」

要旨:筆者はフィールドワークとして、女子プロレスラーの練習に参加、試合会場における準備の観察、ファンイベントの観察を行なってきた。本稿では、主に女子プロレスラーの練習における痛みと受苦の経験、受苦や怪我の記憶が共有されるという現象、レスラー間の相互関係やファンを含む周囲の環境とレスラーの関係を通して以下のことを考察する。1.従来、否定的に捉えられてきた痛みや受苦の経験から開かれる肉体的コミュニケーションを考えることで、痛みと怪我のスポーツ研究へ新たな視点を提示する。

2.痛みや怪我の経験が周囲の環境によってポジティヴ、ネガティヴに方向づけられる様子をみていくことで、女性のスポーツ参加とエンパワーメント論に不足していた、周囲の環境との関連性を指摘する。そして最後に、近代スポーツに内在する男性的ヘゲモニーを解体する可能性のある、そのような視点の転換を提示することを目標とする。

16001610   -rest-

16101630 長谷川アリスン江実

「日系アメリカ人若年層の「四世性」――ハワイ州オアフ島の事例から」

要旨:ハワイの日系アメリカ人の若年層は、「四世」と呼べるのか。「四世」というグループは存在するのか。移民の最新世代として彼らが経験する日常はどのようなものなのか、という問いを修士論文の主軸とする。日系アメリカ人の若年層「四世」は、移民一世がハワイに定住してから世代が進み、三世までの世代でインターマリッジや他世代との婚姻が進んだことによってその外郭が非常に曖昧であり、彼らが「日系アメリカ人四世」というグループとして存在しえるのかどうか自体が疑問視されている。オアフ島でのフィールドワークでは「四世」の生活基盤である家を軸に内と外に分けて進め、インフォーマントの居住環境・他世代の家族との世代間の距離、家族間の会話/ふるまいの事例、家の中の調度品を介した語り/会話、交友関係のリスト、設定された「場」における会話/ふるまい、上記に関わる項目についてのインタビューを収集した。これをもとに、彼らの 出自(家庭環境)/見た目/ふるまい が彼ら自身の自己規定と他者からの言説/意味付けに如何に対応して相互に影響しているのかを明らかにし、彼らの「四世性」を考察する

16301650 光保謙治

「契機としての災害 東京都三宅村の噴火災害を事例に」

要旨:東京都三宅島の島民たちは、5年間の全島避難という苦難を乗り越え、依然問題が山積する故郷へ帰還したと多くの場面で表現される。そこに常に存在するのは、被災者としての脆弱な島民像であり、そうした島民たちの再生の物語である。しかし、災害を振り返るかれらの語りからは、決してそのような脆弱性は感じられず、むしろ災害から恩恵を拾い上げようとする島民像が見て取れる。本研究では、島民たちが噴火を単なる脅威としてではなく、人生にさまざまな変化をもたらす契機と捉えている様子を記述・考察することにより、災害を異なる角度から捉えなおしたい。

16501710 加藤隆史

「二項対立を越えた「平和」へ――沖縄県高江をめぐる人びとの生活と越境するネットワークの事例から」

要旨:今発表では、沖縄県東村高江に建設されようとしている米軍のヘリパッドをめぐる人びとの生活と、相互に影響を与え合う越境するネットワークの具体的なあり方に焦点を当てる。発表では、それらの活動やネットワークを「平和資源」として捉え、多様なアクターにより具体的にどのような実践が行われ、展開しているのかを明らかにしたい。そしてそれを踏まえて、この事例が「平和の人類学」に貢献するものは何かを考察する。  


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