「主体・自己・情動構築の文化的特質」研究班 (1994-1997)

Cultural Construction of Subject, Self and Emotion 

班長 田中雅一

 本研究会は『儀礼的暴力の研究』(1990-1994)に引き続いて行われたもので、1997年3月に終了しました。本共同研究の目的は三つに分かれます。第一の目的は文化・社会人類学の分野では文化や社会が記述・分析の第一の目的であり、個人について十分な考察がなされてこなかったという反省に基づいて、個人中心の民族誌記述の可能性を探ること。第二は特定の文化で個人や情動がいかに理解されているのか、その文化的特質を探ることです。第三は無反省的に使用されてきた個人をめぐるさまざまな概念(person, subject, self, agent, individualなど)を検討し、その問題点を民族誌的事実に照らし合わせて考察することです。この研究会は修了し、その問題意識は現在『ミクロ人類学』へと継承されています。

班員

学内 菅原和孝(総合人間) 松田素二(文学部)

学外 青木恵理子(鈴鹿国際大) 小田 亮(成城大) 春日直樹(阪大) 金谷美和(学振・特別研究員) 川村邦光(阪大) 窪田幸子(広島大) 栗本英世(民博) 棚瀬繁郎(滋賀県立大) 田辺繁治(民博) 谷泰(滋賀県立大) 冨山一郎(阪大)中谷哲弥(奈良商科大) 西井涼子(東京外大・AA研) 林勲男(民博) 福浦厚子(滋賀県立大) 藤田隆則(大阪国際女子大) 渡辺公三(立命館大) 李仁子(人環・院) 中谷純江(金沢大・院)

例会の記録

1994年度 1995年度 1996年度 1997年度   

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1994年度

  • 第1回 05/30 菅原和孝 ブッシュマンの個人名
  • 第2回 06/20 栗本英世 パリ・アニュワにおけるSelfの表象ー感情、臓器、身体
  • 第3回 06/06 松田素二 民衆主体性論の構築のためのノート
  • 第4回 07/04 小田 亮 <他ならぬ私>と<縁>──「生まれ変わり」の理解のためのメモ
  • 第5回 07/18 春日直樹 <自己>の概念と権力関係の形成ーフィジーの事例より
  • 第6回 09/19 中谷純江 パルダー(女性隔離)論再考──南アジアの女性の主体性をめぐって
  • 第7回 10/03 川村邦光 性欲による主体化──近代日本の子どもたち
  • 第8回 12/05 根布厚子 シンガポールのシャマニズム──霊媒のセアンスにおける災因論
  • 第9回 12/05 Timothy Tsu Japanese Symbolic Conquest of Taiwan 1894-1945
  • 第10回 02/06 森 明子 オーストラリア農村から見たパーソンの概念の再検討──ギアツ、キルクパト リックの所論によせて
  • 第11回 02/20 近藤哲朗 フーコーにおける<統治><主体>そして<自己>──その分析手法の観点か ら
  • 第12回 03/06 杉野昭博 盲人文化と社会福祉政策──日英比較の視点から
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    1995年度

  • 第13回 04/10 冨山一郎 戦場の記憶
  • 第14回 04/24 中谷哲弥 キールタン・感情体験・聖人信仰──ヒンドゥー教のバクティー(親愛)伝統 をめぐる一考察
  • 第15回 05/15 西井涼子 南タイの村落における実践宗教──選択肢としてのイスラーム教と仏教
  • 第16回 05/29 渡辺公三 アイデンティティー論から見た親族関係・メモ
  • 第17回 06/05 金谷美和 展示における異文化表象──日本民芸運動をめぐって
  • 第18回 06/19 北山 忍 ベイトソンの杖──文化的自己観と心理プロセス
  • 第19回 07/03 窪田幸子 Social Actorとしてのヨロンゴ女性
  • 第20回 07/17 田中雅一 出家・個人・カースト──セングンダ・ムダリヤールとリンガーヤト派
  • 第21回 09/18 根布厚子 シンガポールの都市と幽霊                
  • 第22回 10/02 田中雅一 Crafting Selves: Power, Gender, and Discourses of Identity in a Japanese Workplace by Dorinne K. Kondo をめぐって 
  • 第23回 10/16 田辺繁治 図式と記憶──儀礼のなかの主体ー            
  • 第24回 11/06 鈴木健太朗 占いと日本近代──迷信・権威・メディアー        
  • 第25回 11/20 細谷広美 <歴史>の生成する現場──ペルー・クスコ県における記憶の政治学
  • 第26回 12/04 岡田浩樹 韓国社会と両班化──儒式儀礼の<精緻化>と<簡素化>をめぐって
  • 第27回 02/05 林 勲男 霊媒師と霊童──パプアニューギニア、ベダムニ族の事例から                    
  • 第28回 02/19 窪田幸子 風の音を聴け──セントラル・カラハリ・ブッシュマンの性と生  
  • 第29回 03/04 今村 薫 ヨロンゴ社会の変容と女性             
  • 第30回 03/18 川並宏子 'Burdensome Gift': Religious Exchange and the Position of Nuns   
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    1996年度

  • 第31回 05/20 冨山一郎 戦場の叙述──フランツ・ファノンをめぐって   
  • 第32回 06/03 青木恵理子 主体subjectivityのパラドクス         
  • 第33回 06/17 松田素二 「人類学の危機」とリアリズム的主体の可能性    
  • 第34回 07/01 渡辺公三 <主体>はいかに問われたのか?──19世紀人類学の再検討
  • 第35回 11/07 春日直樹 「発端の闇」としての植民地──カーゴ・カルトの再検討 
  • 第36回 11/11 田中雅一 サティという主体──北インド寡婦殉死について 
  • 第37回 11/25 李 仁子 移住者の文化とアイデンティティの重層性──在日韓国・朝鮮人の墓をめぐって           
  • 第38回 12/02 中谷文美 異議申し立てとしての非婚──バリ女性の結婚と仕事
  • 第39回 12/16 出口 顕 人格の系譜学──マルセル・モースの「人間精神の一カテゴリー」を読む
  • 第40回 01/20 田原範子 病と主体、ガーナ、アサンテ地方のンパエボ    
  • 第41回 02/03 菅原和孝 文化の中継器──グイにおける死と妖術の語り   
  • 第42回 02/17 田中雅一 女神の身体・女性の身体(インド・スリランカ)
  • 第43回 03/10 藤田隆則 能の音楽におけるトランスミッションの様式    
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    1997年度

  • 第44回 05/26 速水洋子 民族と国家のはざまで──タイ・カレン女性における母性と境界をめぐる選択            
  • 第45回 07/07 福浦厚子 執筆の打ち合わせ
  • 第46回 02/09 中谷・窪田・田中論文(『岩波文化人類学講座第4巻──個からする社会展望』所収)についての討論
  • 第47回 02/23 田中雅一 政治的抵抗から経済的抵抗へ──スリランカ漁民の場合/李仁子 出稼ぎから定着への戦略とレトリック
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