文化研究創成フォーラム
趣旨 人文科学研究所の文化研究創成部門は、人文科学の諸領域の枠にとどまらないフロンティア分野の開拓に積極的に取り組むことを目指して設置されました。すなわち、この部門は、知の領域を文献のみならず、芸術活動や職人芸に認められる身体知や口承知をも含めて、各々の知のありよう、とくにその発生や習得の実態を明らかにし、文献に基づく知識との差異に注目してきました。その蓄積のうえにたって、詩的言語と科学的言語、また人文科学と自然科学を横断しうる新たな言語やパラダイムの確立をめざしてきました。2002年度に発足する文化研究創成フォーラムは文化研究創成部門の中核的活動として位置づけられます。部門のメンバーが参加している複数の研究班を有機的に結びつけ、相互の関係を強化するとともに、部門としての研究成果を研究所の内外へ発信する公開の場ともなります。二年間にわたる共通テーマを設定し、そのテーマにそって隔月に内外の研究者に最新の研究成果を報告していただくことになります。
●科学のことばと宗教のことばについて 今年度から2年度にわたり、「科学のことばと宗教のことば」というテーマのもと、自然科学と人文科学の対話の可能性を探るフォーラムを開催することになりました。このテーマは、今日の「科学のことば」と「宗教のことば」の中に見出される共通点や相違点が、歴史的あるいは文化的にどのように形成され伝達されてきたのかということを、専門領域をこえた広い視野で再検討するために掲げられたものです。
ご承知のとおり、過去半世紀の自然科学は生命観や人間観を大きく変化させまし
た。先端医療技術やバイオテクノロジーの急速な発展により、生命はもはや「神
」の手に委ねられるものではなく、人間による操作がますます可能になろうとし
ています。その一方で、様々な宗教の復興現象やカルト運動もまた世界的な規模
で活性化し、独特の世界観や歴史観で私たちに訴えかけてきます。生命や人間あ
るいは世界や歴史というものをどのようにとらえ、表現していくのかという問題は、現代人にとって避けがたい課題になってきております。
<事務局>小牧研究室 ghazal@zinbun.kyoto-u.ac.jp
●第1回 生命科学とイスラーム思想
日時:2002年10月24日(木)17:30〜20:00
場所:京都大学人文科学研究所本館大会議室
●第2回 インドの科学と宗教のことば
日時:2002年12月19日(木)17:30〜20:00
場所:京都大学人文科学研究所 西館会議室
●第3回「音と調べをめぐって」第3回となる今回のフォーラムでは「音楽」に主題を
とり、そこに関わっていく「ことば」の姿を浮かびあがらせ、科学性、宗教性という
問題系について多彩な視点からの議論を提起してまいりたいと考えております。ご関
心をお持ちの方々のお越しを心よりお待ち申し上げます。
日時 2003年5月24日(土)14:00〜17:00
場所 京都大学 三才学林
(鞠小路通近衛上る東側「三才学林」の表示のある無蓋冠木門をお入り下さい)
講演 岡田暁生(人文科学研究所)「音楽を語る言葉/言葉としての音楽」
梶田真章氏(法然院 貫主) 「お経を唱えるということ」