機構・組織

1. 機構・組織

2000年4月に改組された人文科学研究所は、研究部門5と附属研究施設3から構成されている。研究・運営の便宜上、これら研究部門・附属研究施設を人文学研究部・東方学研究部の2部に分けている。その他、国際的連携のもとに人文学の新たな研究領域を開拓することを目的として「国際人文学研究プロジェクト」が運営されている。
 事務部は、総務掛・会計掛・図書掛・東アジア人文情報学研究センター事務掛の4掛に分かれ、それぞれ業務を分担している。
 また、本研究所には、議決機関・協議機関として、教授会、各種委員会および研究者会議などを設けている。

組織図

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2. 各部門の研究内容

文化研究創成部門

人間の文化を構成するのは、生物としてのヒトであり、そのヒトから成る家族や民族などの集団であり、会社や国家などの社会組織である。
文化研究創成とは、そうした文化についての研究のあり方を、既存の研究分野やディシプリンにとらわれることなく、根底から見直したうえで、新たな研究視角の提示や研究方法の創出を目指すものである。
 この課題を遂行するため、本部門では宗教や芸術研究などの多岐の分野を含む人文科学と社会科学との連携というにとどまらず、人文系科学と自然科学といった境界を越えて、生命科学などの先端諸科学との対話を可能にするために学際的に編成されている。
 本部門は、他の研究部門の成果を統合する結節環としての機能も担っているが、さらには研究成果をいかに国際的に発信し社会的に還元していくのかという課題に対しても、客員部門や人文学国際研究センターとともに積極的に取り組んでいる。

構成員
岡田暁生 小川佐和子 田中雅一 石井美保 田中祐理子 藤井正人 井狩彌介(客員)
藤原辰史 JACQUET Benoit(客員)


文化生成部門

文化が生まれ、発展し、継承されていくメカニズムの解明なしには文化の本質や根源に迫ることはできないし、錯雑化した現代の文化状況を分析し、そこから将来への展望を切り拓くこともできない。
 しかしながら、文化といってもそこには政治・経済からはじまって文学・思想・美術など多種多様な領域があり、それぞれの文化領域を捉えるための方法や視角は、けっして一元的ではありえない。さらにまた文化が生まれ、変容し、伝承されていく、その様態は時代や地域において著しく異なっており、その時間と空間の違いに起因する多様性を究明することにこそ、文化研究の醍醐味があるとともに困難さも潜んでいる。
 こうした時代や地域そして分野によって異なる文化のあり方を、その固有性において把握しつつ、同時に固有性を超えた文化における普遍性とは何か、を探求して文化の本質を明らかにすることを課題として、本部門では文化生成のメカニズムの析出と文化創造への提言を進めている。

構成員
岩城卓二 高木博志 森本淳生 立木康介 藤井俊之 池田さなえ
HOLCA Irina


文化連関部門

文化はひとたび生まれると、その時代や空間を超えて移動し、交わることによって相互の文化は異なった要素を組み込んだ文化としての生命をもつ。こうした異文化接触によって人類の文明は形成されてきた。
 そして、21世紀に入って更に加速化してきたグローバリゼーションの浸透によって、経済や政治そして情報は世界的な同時性をもって動き、社会も連動性をもって推移しているように見える。しかしながら、そこでは連動性と共に地域的な生活様式や文化における固有性を保持しようとするベクトルもまた作用している事態も看過することはできない。こうした文化の流動性と持続性とのせめぎ合いの中に現れる異文化間交渉のあり方は、時代に応じて大きく変容してきたものであり、長いタイムスパンの中でその実相を解明していかなければ、眼前の趨勢をも見誤ることになりかねない。
 本部門では、文化生成部門の成果を踏まえ、異文化間接触で生じる事態の考察を通じて、グローバル化時代における学知のあり方を探求している。

構成員
籠谷直人 小関隆 竹沢泰子 王寺賢太 高階絵里加 伊藤順二 菊地暁 徳永悠


文化表象部門

継続性と広域性を兼ね備えた東アジアの文化体系について、時間と空間の両面に関わる文化の実相を、文献研究と実地調査の二重証拠法により総合的に研究する。人間の創造した文化は、そのエッセンスをなす部分が後世に伝えられるに際し、文学や思想などのように文字を介するもののほか、文字以外の形態によって承け伝えられる分野も相当の割合を占めている。しかも文字を介した文化伝承の場合に比べ、それ以外の媒体で伝承される文化については、その中に込められた思考や価値観を抽出することは容易ではなく、それぞれの分野ごとに独自の方法を用意する必要がある。
 本部門では、主たる対象を中国を中心とする東アジア文化圏に定め、考古文物、出土文献、科学技術、図像芸術、礼制習俗など五つの分野に重点を置いて研究対象の歴史的変遷を記述するばかりでなく、形象化して表出された文化の諸要素が、東アジア文化圏のなかで如何なる位置を占め、如何なる機能を果たしてきたのかについても探求する。

構成員
浅原達郎 石川禎浩 稲葉穣 岡村秀典 高井たかね 武田時昌 稲本秦生 中西竜也


文化構成部門

本部門は、文化表象部門との協同のもとに、おもに中国を中心とする東アジア地域を対象として、その文化体系の全体像を解明する研究の一翼を担う。文化表象部門が非言語的な文化現象を手がかりに文化観念の側面にまで分析を進めるのとは対照的に、本部門ではまず言語を通じて表出される文化営為に着目して、言語史、宗教史、思想史、制度史、新学史など五つの分野から文化意識の形成を時系列的に追究していくとともに、その文化意識の表出としての文化現象にまで考察の対象を広げることによって、意識から表象へというベクトルに沿いながら、文化体系の深層から表層にいたる成り立ちを構造と動態の両面から複合的に解明する。
 さらに言語史、制度史の分野では、漢字情報研究センターに協力して全国漢籍データベース、人文科学研究所蔵拓本データベースなどの構築を進める。また新学史分野は現代中国研究センターとともに、人文学とくに歴史学の視角から現代中国の深層構造を分析する。

構成員
船山徹 池田巧 岩井茂樹 矢木毅 向井佑介 古勝隆一 宮宅潔 古松祟志 宮紀子 藤井律之


東アジア人文情報学研究センター

東アジア人文情報学研究センターは、旧東洋学文献センターを改組して、2009年4月に設立された。その主たる任務は、漢字に対して情報科学的な研究を行い、新しいメディアを通して漢字文献を広く研究者に提供することである。各種のデータベースが作成されつつあり、なかでも長い歴史を有する『東洋学文献類目』は、近年ウェブ上でも利用できるようになった。

構成員
井波陵一 梶浦晋 WITTERN Christian 目黒杏子 永田知之 守岡知彦 安岡孝一


現代中国研究センター

現代中国研究センターは、人間文化研究機構(大学共同利用機関法人)と京都大学が共同設置する現代中国研究の拠点として2007年4月に発足した。下に挙げた構成員のほか、学内の関連諸部局(経済学研究科〔上海センター〕、文学研究科、人間・環境学研究科、法学研究科、学術情報メディアセンターなど)の教員を兼任などの形で受け入れ、京都大学の現代中国研究者が持続的共同研究を行う場の構築を目指している。また同センターは、現代中国地域研究を進める日本国内の6拠点の一つとして、他拠点(早稲田大学〔幹事拠点〕、慶應義塾大学、東京大学、総合地球環境学研究所、東洋文庫)と連携して、ネットワーク型の共同研究を実施する。

構成員
村上衛 森川裕貫


3. 施設

本館
 人文科学研究所本館は2008年5月、吉田本部構内の北、今出川通りに面した新たな建物に移転した。地下1階、地上4階建ての建物のうち、地下部分は工学部が使用し、地上部分の一部は工学部講義室および数理解析研究所研究室となっている。
 東一条の西北角にあった旧本館は1975年に建てられたが、30年が経過して老朽化し耐震補強が必要となっていること、書庫が手狭になったこと、大学本部から移転の要請があったことなどから、本部構内への移転が決められた。移転にいたるまでには、旧工学部5号館を全面改修して研究所にふさわしい建物にかえるための検討、改修案の作成が数年にわたって続けられた。
 毎年増えていく図書資料を収蔵する書庫を十分に確保しながら、漢字情報研究センターを除く全教員の研究室、事務室、図書室をはじめ、研究会を開催するためのセミナー室、特別研究員・外国人研究員などの研究室、新たな研究に必要なスペースなどが設けられている。また、研究所の附属施設である現代中国研究センターも入っており、新たな本館が今後の研究を支える大きな基盤として機能することが期待される。

分館
 北白川の閑静な住宅街にある分館。東方文化学院京都研究所屋として1930年11月竣工。設計は東畑謙三氏。スペイン僧院を模したロマネスク様式に東洋風を加味した美しい建物で、文化庁の登録有形文化財に指定されている。中央の建物(尖塔の東側)が書庫、手前に研究棟を持つ。敷地4,228平方メートル、建坪2,712平方メートル。京都の中国学研究の象徴として内外に知られており、現在は東アジア人文情報学研究センターが使用している。