軍事環境問題の研究 -- A Transdisciplinary Study of the Environmental Impact of Military Activities

Activities

ワークショップ「沖縄における米軍基地・環境・社会運動」

日時:2013年9月14日 13:30~17:30
場所:沖縄大学3号館3階305教室

趣旨説明:

田中雅一(京都大学人文科学研究所 教授)
在沖米軍基地は、赤土流出による水汚染や航空機騒音による日常的な健康被害、実弾演習による山林火災、有毒物質の廃棄による土壌汚染、基地建設に伴う自然環境破壊、戦闘機等の墜落事故など、人々の生活や自然環境に様々な影響を及ぼしてきました。本ワークショップは、軍事基地が引き起こしてきた環境問題を「軍事環境問題」と捉え、その実態を明らかにするとともに、これらの解決に取り組む人々や団体やネットワークに焦点をあてながら、環境運動の課題と可能性について考えることを目指しています。同時に、様々な背景・立場・アプローチから環境汚染や自然環境保全に取り組んできた多様な環境運動の実践を見ることを通して、沖縄における環境運動の意義や役割について、様々な角度から探究する機会を持ちたいと考えています。

司会:

成定洋子(東京学芸大学男女共同参画支援室主任研究員)

パネリスト:

  • 「ジュゴンが照らす沖縄の自然と暮らし」/浦島悦子(ヘリ基地いらない二見以北十区の会 共同代表/北限のジュゴン調査チーム ザンメンバー)
  • 「緑の点をつなげること――エンパワメントとアカウンタビリティを求めて」/吉川秀樹(沖縄・生物多様性市民ネットワーク 事務局長/沖縄大学地域研究所 特別研究員)
  • 「在沖米軍基地環境問題への社会運動の取り組みと今後の課題」/砂川かおり(沖縄国際大学 講師/沖縄環境ネットワーク 世話人) コメント/桜井国俊(沖縄大学人文学部 教授)

報告:

9月14日に沖縄大学で開催しました「沖縄における米軍基地・環境・社会運動」ワークショップでは、、いろいろな形で環境運動や反基地運動に携わってこられた方々から具体的な取り組みについて伺い、また参加者の皆さんと一緒に議論することができ、軍事基地をめぐる環境運動の課題と可能性について多角的に考えることができました。

ワークショップでは、まず最初に、「北限のジュゴン調査チーム・ザン」の浦島悦子さんと鈴木雅子さんに、「ジュゴンが照らす沖縄の自然と暮らし」についてお話頂き、ジュゴンの生息環境を保全する活動を基に、「ジュゴンを守ることは自分自身を守る」からこそ重要であることをご示唆頂きました。

次に、「沖縄・生物多様性市民ネットワーク」の吉川秀樹さんに、「緑の点をつなげること:エンパワメントとアカウンタビリティ」と題して、住民が知識力をつけることによって、国際社会に訴えていく中で、日本政府や国際機関に責任を求めていく方法論と大切さをお話頂きました。

三番目のパネリストである沖縄国際大学・沖縄環境ネットワークの砂川かおりさんからは、「在沖米軍基地環境問題への社会運動の取り組みと今後の課題」についてお話頂き、これまでの環境運動に関わる一覧表をご提示頂きながら、軍事基地をめぐる環境運動における市民参画の重要性、および社会改革のための法制度づくりや人材育成の必要性についてご教示頂きました。

さらに、当日ご出席いただいた方々の中から、異なる形で環境運動に携わってこられたお二人にお話を伺うことができました。ジュゴン訴訟に携わってこられた真喜志好一さんからは、新聞を第一次資料として利用することの問題、自分たちで一次資料を見つけていく必要性、環境アセスメントを活用すること、アメリカでの訴訟によって日本政府がオスプレイ配備を96年の時点で知っていたことが暴露されたことについてお話いただきました。

さらに、普天間爆音訴訟の原告のお一人である高橋年男さんからは、嘉手納や普天間基地周辺では、低体重児が生まれたり、難聴の人たちが存在しているが、裁判という制度では問題化できないこと、時間的・空間t根器広がりの検討を裁判の外でもしていく必要があること、米軍に浄化責任があることを主張していかなければならないことについてお話頂きました。

長くなりましたが、以上報告とさせて頂きます。最後になりましたが、当日ご参加頂きました方々には、大変お世話になりました。この場を借りて、心より御礼申し上げます。本当に有難うございました。

これまでの関連活動

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国際ワークショップ「戦争・トラウマ・アート」
第4回研究会
国際ワークショップ「韓国における軍事基地と反基地・平和運動の現状」
ワークショップ「沖縄における米軍基地・環境・社会運動」
ワークショップ「沖縄戦〈後〉の社会とトラウマ」
第3回研究会
国際コモンズ学会第14回世界大会(北富士)
第2回研究会
第1回研究会