プロジェクトについて

私たちの研究プロジェクト「第一次世界大戦の総合的研究」のキーワードは三つある。すなわち、世界性、総体性、持続性である。

世界性とは、第一次世界大戦をグローバルな戦争として見直すということである。そしてこれは、単に世界中で戦争があったということではない。むしろ、世界のグローバル化がすでに100年前に相当進行していたからこそ、戦争は瞬く間に世界中に広がり、そして、戦争を通じてますます世界のグローバル化が加速されたのである。

総体性とは、第一次世界大戦が史上初の総力戦(トータル・ウォー)であったということだけを意味するのではない。私たちは、トータルという語にもっと広い意味があると考える。つまり、大戦とは、人間のライフスタイル、考え方、感受性、無意識など、あらゆる領域をラディカルに変化させた戦争なのである。そして、この文脈の中でとりわけ重要になってくるのが、芸術、思想、哲学である。

持続性とは、今日なお、私たちが第一次世界大戦によって出現した世界システムから決して自由にはなっていないという認識を意味する。私たちが直面している、政治的、経済的、社会的な問題のほとんど全ては、多かれ少なかれ大戦の影響下にある。第一次世界大戦はソ連を出現させたが、冷戦の時代を経て、東西の壁が崩れてから約20年、私たちは、再び振り出しに戻ったというような既視感を抱かざるを得ない。たとえば、冷戦終結後に勃発したユーゴ内戦も、大戦が引き金となっている。いま、冷戦の時代に蓋をされてきたような問題が、再び亡霊のように現れてきている。

以上の三つの観点から、私たちは、現代の起点としての第一次世界大戦を再考したい。

メンバー

班長

山室信一     法政思想連鎖史
岡田暁生     西洋音楽史

人文研所外

荒木映子     英文学
李昇燁      朝鮮近代史
池田浩士     ドイツ文学
池田嘉郎     ロシア史
石田美紀     映画史
石橋聖名     書籍編集
板橋拓己     中欧思想史
伊東信宏     音楽史
伊藤桃子     書籍編集
井上裕美     書籍編集
猪股祐介     歴史社会学
乾 雅幸     ロシア革命史
井野瀬久美恵   イギリス帝国史
今井宏昌     ドイツ史
岩間優希     ジャーナリズム
上尾真道     精神分析・精神医学史
上田和彦     哲学・フランス思想
遠藤乾      国際政治学
大久保恭子    近代西洋美術研究
大津留厚     ハプスブルク帝国史
奥田泰広     イギリス政治外交史
小黒昌文     フランス文学
小田川大典    ブリテン・日本近代思想史
小田中章浩    20世紀フランス演劇
小野寺史郎    中国近代史
小畑健太郎    日本近代史
影浦順子     日本近代経済史
片山杜秀     日本近代思想史・音楽史
加藤和人     現代生物学・生命科学
金澤周作     イギリス近代史
川合大輔     日本近代思想史
北垣徹      フランス社会思想史
北原恵      表象文化論
北村陽子     近代ドイツ史
日下渉      政治学・フィリピン研究
草光俊雄     イギリス社会経済史・文化史
久保昭博     フランス文学
久保田裕次    日本近代政治外交史
黒岩康博     日本近代史
胡令遠      政治および文化をめぐる日中関係史
河本真理     西洋近現代美術史
小島亮      東欧・日本政治史・思想史
後藤春美     国際関係史、イギリス帝国史
後藤啓倫     日本近代史
小森宏美     エストニア史
小柳敦史     近代キリスト教思想
雑賀恵子     社会思想史
斉藤渉      哲学・ドイツ思想
酒井敏行     書籍編集
酒井朋子     アイルランド史
坂本浩也     フランス文学
坂本優一郎    イギリス史
佐藤慎一     中国近代思想史
篠原雅武     政治思想史
柴田陽一     人文地理学
ヤン・シュミット 日本近代史
鈴木健雄     ドイツ系亡命者史
鈴木多聞     日本近代史
高岡智子     映画音楽、東ドイツ
高橋章夫     英文学
高橋弘      書籍編集
高原秀介     アメリカ外交史、日米関係史
瀧口順也     ソ連史
田辺明生     人類学・南アジア地域研究
谷川穣      日本近代教育史
フレデリック・ダヌザン
田村恵子
塚原史      フランス文学
津田博司     オーストラリア史
長井和博     書籍編集
長沢一恵     近代史(日本、朝鮮)、国際関係史
中島岳志     アジア近代思想史
中野耕太郎    アメリカ史
中本真生子    フランス史
奈良岡聰智    日本政治外交史
西谷修      グローバルスタディーズ・戦争論・世界史論
任城模      満洲国および植民地をめぐる東アジア史
野村真理     中東欧ユダヤ近現代史
朴完       日本近代軍事史
橋本伸也     ロシア教育史
橋本知子     フランス文学
服部伸      ドイツ医学史・医療史
林忠行      東欧・中欧史
林洋子      近現代美術史・美術批評
林田敏子     イギリス史
早瀬晋三     東南アジア・海域世界史
原田容子     豪州捕鯨史 バッテ・パッラヴィ
樋口騰迪     音楽学
平光文乃     フランス文学
平野千果子    フランス植民地主義
福田宏      チェコスロバキア史
布施将夫     アメリカ軍事史
堀内隆行     南アフリカ史
松沼美穂     フランス帝国史
向井直己     ユダヤ近代思想史
森岡優紀     中国文学と東アジア比較研究
森川裕貴     中国近現代政治思想
森本淳生     フランス文学
安冨歩      経済学
矢野未知生    書籍編集
吉田浩一     書籍編集
吉田耕太郎    ドイツ思想史
脇村孝平     インド経済史

京都大学新聞社

人文研所内

石井美保     文化人類学、アフリカ・南アジア地域研究
石川禎浩     中国近代史
伊藤順二     グルジア史
岩城卓二     日本近世史
王寺賢太     フランス近世思想史
大浦康介     フランス文学・文学理論
小川佐和子    映画史
小野容照     朝鮮近代史
籠谷直人     日本近代経済史
小池郁子     文化人類学・アフリカ系アメリカ人の宗教文化
小石かつら    音楽学
小関隆      イギリス・アイルランド史
高木博志     日本近代文化史
高階絵里加    美術史
竹沢泰子     人類学・人種論
田中雅一     文化人類学
立木康介     精神分析
富永茂樹     社会学・フランス近代思想史
藤井俊之     ドイツ文学
藤原辰史     ドイツ農業思想史
水野直樹     朝鮮近代史

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京都大学人文科学研究所

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Email: annai(at) zinbun.kyoto-u.ac.jp