1918年11月に終結したとされる大戦は、多くの根底的な変化をもたらすとともに、「未完の戦争」として「次なる戦争」を用意した。断絶と継続の相が交錯する中で現代世界の枠組みは構築された。
大戦の前後で、文学や芸術の相貌は一変する。大戦は上流社会が支えてきた芸術や学知の危機をもたらした。社会参加と自律のはざまで揺れ動く芸術。時代は大衆文化へと大きく舵を切る。
人類史上最初の総力戦は、戦場で戦う兵士だけでなく、銃後の人々もまた戦争の当事者になることを意味した。兵士の経験や、市民社会の戦争協力の諸相を探り、大戦の総体性を考察する。
バルカン半島の紛争として勃発した戦争は、植民地帝国の戦争へと姿を変え、大戦の衝撃は世界に波及していった。植民地やアジアにとっての大戦経験に焦点をあて、大戦の世界性を考察する。
第一次世界大戦は、世界の一体化を推し進め、社会のすべてを動員しようとし、人びとの精神のありようを根底から変えてしまった、史上初の「世界戦争」だった。 勃発から100年──現代の幕開けを告げる出来事としての第一次世界大戦を「世界性」「総体性」「感性」「持続性」という四つの新たな視点から問い直す、日本初の本格的論集。
忘れられた東部戦線
理念の戦争の劫火が鋳出した「アメリカ」とは何か?
愛国熱と制服フィーバーの時代
敵国のために働くとは?
東南アジアから見た大戦の世界性
「戦争文化」は文学に何をもたらしたのか?
〈現代〉戦争はどのように表象されるのか?
ナチスを生んだ飢餓の記憶
芸術表現につきつけられたアポリア
兵役拒否者は、独善的な臆病者なのか?
第一次世界大戦こそ私たちが生活している「現代世界」の基本的な枠組みをつくりだした出来事だったのではないか
第一次大戦は敵国に滞在する民間人が大規模に抑留される初めての戦争だった。異国で捕虜となった日本人たちの記録。