共同研究:基盤研究班(C班)
秦漢法制史料の研究班長:宮宅 潔
2003年に湖南大学岳麓書院が購入した岳麓書院所蔵簡には、秦代の裁判史料や数学書の他、大量の法律条文が含まれる。今のところ秦律令(1)~(3)の三冊が刊行され、そこに収録される簡牘は約1000枚にのぼる。 これらの条文は、始皇帝による中国統一以降に書写・編集されたのが確実なものであり、初期中華帝国が成立した当初の、国家統治の設計図ともいうべき史料である。 これまで、「秦代出土文字史料の研究」において当該史料を会読してきたが、本研究班でもそれを継続して行い、訳注を作成する。 これと平行して、睡虎地漢簡の会読も行う予定である。 こちらの史料は、2006年に湖北省の睡虎地77号漢墓から発見された簡牘群であり、850枚ほどの漢代の律令のほか、いくつかの公文書を含む。 これらの条文は前漢の文帝~景帝頃のもので、岳麓簡との間には半世紀程度の時代差がある。 この史料が全面公開されたなら、本格的な会読を開始し、秦・漢の法律史料を比較することによって、初期帝国の変容を跡づけることを目指したい。
研究期間:2021年4月 ~ 2026年3月
班員(所内)
宮宅 潔[班長]
古勝 隆一
野原 将揮
藤井 律之
陳 捷(非常勤研究員)
2024年08月01日 更新