京都大学人文科学研究所

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『広弘明集』に見る中国中世在家仏教

共同研究:基盤研究班(C班)

『広弘明集』に見る中国中世在家仏教班長:船山 徹

 『広弘明集』(664年成書)は,4世紀~7世紀前半(六朝・隋・初唐)の仏教諸文献を集める。 本研究班は,『広弘明集』に収める在家信者(具体的には王侯貴族)が執筆した書物を取り上げ,在家者に共通する仏教に対する見方と接し方を,出家僧と対比しながら検討することを研究目的とする。

 中国において仏教は様々な発展を遂げた。多くの仏書は「出家者」が書いたものだが,それだけにとどまらず,皇帝・皇族・知識人らの「在家者」も大きな役割を果たした。 例えば,仏教と世俗社会の関係や,仏教書の文字表記と中国伝統文献(儒教・老荘・文学等)との連関は,出家者が書いた書物からは知り得ない,在家仏教の一面である。 一方,在家者であるために参看できなかった仏教書もあったと考えられる。 具体的には例えば,出家者の生活規則や罰則を記す『律』(ヴィナヤ)や出家者が書いた詳細な注釈書を在家者は手にとって読めたのか。 また,在家信者が特に好んだ書物があったのか。 現在に至るまで,これらの問いに対する確かな答えは今なお得られていない。 本研究班は中国在家仏教史に対する新たな解釈の試みである。

研究期間:2024年4月 ~ 2027年3月

班員(所内)

船山 徹[班長]
稲本 泰生
ウィッテルン,クリスティアン
古勝 隆一
倉本 尚徳
中西 竜也
石垣 章子(研究生)
ニューホール,トマス(研究生)
山本 茂(研究生)
蘭 原(研究生)
慶 昭蓉(白眉プロジェクト)

2024年08月01日 更新

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