京都大学人文科学研究所

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情報と近現代中国

共同研究:基盤研究班(C班)

情報と近現代中国班長:石川 禎浩

 激動と変化に富んだ近現代中国の歴史を、「情報」という要素をかませることによって、違った相貌にしてみることはできないかというのがこの研究班のねらいである。 後世の高みに立つ歴史家が、歴史事件生起の因果関係や結末を知っているのに対し、歴史上の人物は、必ずしも時系列に沿って、あるいは正確な情報ばかりに接しているわけではない。 それどころか、情報をそもそも持たずに、あるいは誤解して判断を下したり、行動したりしていることもしばしば見受けられる。 それは市井の民であっても、知識人でも、国家指導者でも変わらない。こうした情報の伝達(誤伝を含む)・操作の要素を加味した研究は、決して多くはなく、大きな可能性を秘めている。 近現代中国のさまざまな変動、動乱、革命はどのような情報環境のもとで展開したのか、また「情報」を握るものが歴史事件の発生や進行にどのような影響をあたえたのかが問われるであろう。 いわば「情報」なる透明要素を仲立ちとして、あの日あの時何があったのかということにこだわる「史実解明」の歴史学アプローチと、 情報スクリーンを経たのちの「報道」に焦点をあてる「解釈」としての歴史学アプローチとを有機的に結びつけて中国を見ること、それが本研究の目的である。

研究期間:2024年4月 ~ 2028年3月

班員(所内)

石川 禎浩[班長]
瞿 艶丹(非常勤研究員)
陸 家振(研究生)
福家 崇洋
村上 衛
楊 奎松(招へい外国人学者)
呉 孟晋

2024年08月01日 更新

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