京都大学人文科学研究所

「語りえぬもの」を語る行為とその思想表現に関する学際的研究

共同研究:課題公募班(一般A班)

「語りえぬもの」を語る行為とその思想表現に関する学際的研究
 —禅の言葉と翻訳を中心課題として—班長:何 燕生(郡山女子大学)

 グローバル化やAI化が進む現代社会において、そもそも「言葉」と「翻訳」にはどのような意味があるのか。 本研究は、「言葉」と「翻訳」という古くて新しい問題を東アジアにおいて形成された禅仏教をケースとして考察することを目的とする。 禅は、「不立文字」と言い、言葉を否定的に捉えようとする一方、語録や公案、灯史など膨大な量の言葉群を残している。 矛盾にも見える禅と言葉とのこのような関係を一体どのように捉えたらよいのか。 「語りえぬものについては沈黙せねばならない」という捉え方があるが、禅では、沈黙だけでなく、時には「道え!道え!」と、語ることも求められる。 一方、和語、漢語および近世中国の俗語を駆使して必死に語ろうとしたのは日本の禅僧道元だが、道元による禅の日本語化の持つ意味は一体何なのか。 さらに、近代では禅が欧米へと「翻訳」され、英語、フランス語などの言語で語られ、異文化との接触によって脱文脈化しつつある。 禅のそうした「越境性」について、またどのような分析枠が可能であろうか。

 本研究は、これまでの研究を踏まえ、今日的な問題をも視野に入れて、禅の「言葉」と「翻訳」の問題をめぐり、国内外の研究者との連携をはかりながら、学際的に研究するというものである。

研究期間:2022年4月 ~ 2025年3月

班員(学外)

何 燕生[班長](郡山女子大学)

班員(所内)

ウィッテルン,クリスティアン[副班長]
古勝 隆一

2024年08月01日 更新

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