京都大学人文科学研究所

研究者・活動について
チベットにおけるコミュニケーションツールの研究

共同研究

チベットにおけるコミュニケーションツールの研究
 —書簡文化の歴史的変遷と現代的意義—班長:池田 巧

 チベットにおける書簡には、インド仏教由来の韻文で綴ったスタイルによる手紙と散文で書かれた手紙の二種類がある。 このうち、第二の手紙群には、高僧の手になる手紙や政治文書における手紙などのほか、寺院への支援物資に添えた手紙、古代チベット帝国期の通達文書など様々な書簡が含まれる。 これらのチベット語書簡は、書かれた時代や目的のみならず、書き手の立場や社会背景、書体や書式スタイルに至る諸要素において異なる性質を持っている。

 本研究では、様々な性質を持つ書簡を通覧し分析することで、チベットにおける書簡の類型化に取り組み、その意義を検証する。 また、現代社会には書簡のみならずeメールやSNS等のコミュニケーションツールが存在する。 これらのツールと書簡との関連や相違を明らかにし、現代社会における書簡の位置付けについて考察する。

 歴史の当事者たちが綴った文字資料であり、正しく扱えば有益な史料となる書簡を分野横断的かつ通時的に比較・分析し、現代のツールと付き合わせることで、コミュニケーションツールの一媒体である書簡の役割を歴史的文脈で再検証し、複眼的視点からチベット社会を見直すことが本研究の主たる目的である。

研究期間:2022年4月 ~ 2025年3月

班員(所内)

池田 巧[班長]、 西田 愛(白眉センター)、 稲葉 穣、 中西 竜也、 野原 将揮

2023年07月11日 更新

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