京都大学人文科学研究所

研究者・活動について
アジアにおける宗教諸文化の越境的波及と「地域」創出

共同研究

アジアにおける宗教諸文化の越境的波及と「地域」創出班長:稲葉 穣・中西 竜也

 古来、西アジア、南アジア、内陸アジア、東アジアでは、イスラームや仏教などの諸宗教と関わる諸思想・諸文化が多方向的に越境波及し、各地に様々な作用を及ぼしてきた。 本研究班では、当該諸思想・諸文化が、ときに超地域的な思潮・流行文化、あるいは時代精神のようなものさえも形成しながら、他方で地域化したり、地域特性やローカル・アイデンティティの創造・想像に寄与したりもしてきた、そのダイナミックな様相を議論する。 たとえば、南アジアに起源して西アジアはもとより、中央アジア、さらには中国にまで伸展したスーフィズムの一派、ナクシュバンディーヤ・ムジャッディディーヤの各地における展開実相やインパクトを考察する。 また、その考察の基礎を共有するために、同派の根本経典、名祖アフマド・スィルヒンディー(1624年没)のペルシア語書簡集など、ムジャッディディーヤ関係の諸文献を会読・吟味する。 こうした探求を通じて、特定の宗教や地域に関する本質主義的な見方、あるいはそれと表裏する軽率な「異文化」の土着化・排除の要求を相対化する視野を開拓し、これを糸口としてグローバル化時代の「共生」の問題にも思いを馳せたい。

研究期間:2023年4月 ~ 2026年3月

班員(所内)

稲葉 穣[班長]、 中西 竜也[班長]、 船山 徹、 檜山 智美(白眉センター)

2023年07月11日 更新

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